ペルソナマーケティングとは?ターゲットとの違いや設定方法について解説!

ペルソナを設定したうえでマーケティングを行うと、ユーザーに刺さる商品やサービスの提供ができるようになります。また、ペルソナを設定することで組織内のベクトルがはっきりと定まり、業務の効率化が期待できます。

しかし、ペルソナの意味や設定方法がよく分からず、マーケティングに活かせていない方も多いのではないでしょうか。この記事では「ペルソナマーケティングとは?」から始まり、具体的な「ペルソナの設定例」や「ペルソナの設定方法」について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

ペルソナマーケティングとは?

ターゲット像となる人のアイコン

ペルソナマーケティングとは、自社の商品・サービスを利用してくれる架空のユーザー(ペルソナ)を想定し、ペルソナに刺さる商品・サービスの戦略を立案することです。ペルソナは、漠然としたユーザー像ではなく明確なユーザー像を設定することで、ペルソナマーケティングの効果が発揮されます。

ペルソナ設定はBtoCの場合とBtoBの場合で設定方法が異なるため、それぞれ詳しく解説していきます。

BtoCのペルソナ設定例

BtoCの場合は、購入を検討する人と決裁権を持つ人が同一であることが多いため、ペルソナはその一人を設定します。

BtoCのペルソナ設定例は以下の通りです。

  • 名前:大野 あきのり
  • 年齢:35歳
  • 性別:男性
  • 家族構成:未婚(一人暮らし)
  • 居住地:地方在住(賃貸アパート)
  • 職業:会社員(工場勤務)
  • 勤務体系:日勤(8時~17時が定時)
  • 残業:月20時間程度
  • 年収:350万円
  • 趣味:ジムで筋トレ
  • 利用SNS:Twitter、Instagram
  • 最近の悩み:出会いがなくて困っている

上記のように明確なユーザー像を設定することで、ユーザーのニーズに合った商品・サービスが提供できるようになります。

BtoBのペルソナ設定例

BtoBの場合、担当者個人の都合だけで購入を決められるわけではなく、組織の上層部(決裁者)から承認を得る必要があります。そのため、直接取引する「担当者」と最終的な判断を行う「組織」それぞれのペルソナ設定が必要です。

担当者ペルソナ

担当者ペルソナの設定例です。

  • 氏名:田中 仁
  • 年齢:40歳
  • 所属部署:Webマーケティング事業部
  • 役職:主任
  • 所属部署の人数:5人
  • 社歴:10年
  • 決裁権:なし
  • 情報収集方法:YouTube、SNS、Webサイト
  • 課題:自社オウンドメディアの立ち上げ

担当者に自社の商品・サービスを気に入ってもらわなければ、まず購入には繋がりません。担当者ペルソナを設定し、どのような手段で、どういった商品・サービスを提案していくのか具体的な戦略を立案しましょう。

組織ペルソナ

組織ペルソナの設定例です。

  • 会社名:わんにゃんワールド
  • 事業内容:ペットフードの製造・販売
  • 従業員数:100名
  • 売上規模:年商10億円
  • 組織の課題:競合との差別化
  • 実現したいこと:自社オウンドメディアを活用した集客

本記事で解説しているペルソナの項目はあくまで一例のため、自社の戦略や目的に合わせて必要な項目を追加・決定していきましょう。

「ペルソナ」と「ターゲット」の違い

人のブロックの中で1つが光っている

前項で解説した「ペルソナ」は「明確なユーザー像」を設定したものに対し「ターゲット」は「年齢・性別・居住地などの属性で対象を決めたもの」を指します。つまり、ターゲットとペルソナは、設定する範囲の詳細さが大きく異なるのです。

ターゲット設定は「20代女性」や「東京都在住」など大まかな設定で終わることが多いため、組織内でユーザー像の認識違いが懸念されます。ユーザー像の認識違いがあると、意見の食い違いにより戦略が思うように決まらず、無駄な作業やスケジュールの遅延などが起こりやすくなります。その点「ペルソナ」を設定することで、組織のベクトルが定まりやすくなり、効率的かつ効果的に商品・サービスの開発・運用ができるようになります。

ペルソナマーケティングの重要性とメリット

的に矢を刺すイラスト

ペルソナマーケティングの重要性とメリットは、以下の通りです。

  • ユーザーファーストの視点で戦略を立案できる
  • ユーザー像を組織内で統一できる

それぞれ詳しく解説していきます。

ユーザーファーストの視点で戦略を立案できる

ペルソナを設定することで、ユーザーの状況を第一に考えた戦略を立案できるようになります。

例として、ペルソナに合ったSNSの投稿時間を考えていきましょう。前項であげた「大野あきのり」さんをペルソナに設定したとすると、平日は以下のスケジュールが想定できます。

  • 会社員で日勤勤務のため、休憩時間は12時~13時の間である
  • 月の残業時間は20時間程度のため、18時頃には退社している
  • 会社の帰りに、そのままジムに直行し、ジムのシャワーを浴びて帰宅
  • 一人暮らしのため、料理は簡単に済ませている

以上のことから、12時〜13時の間と22時〜24時の間にTwitterやInstagramを見ていると想定され、その時間に合わせて自社の商品・サービスに関する投稿を行うと効果的だと考えられます。

このように、具体的なユーザー像を描くことで「いつ」「何を」「どのように」アプローチするべきか、ユーザーファーストの戦略が立案できるため、集客・売り上げに繋がりやすいといえます。

ユーザー像を組織内で統一できる

「ターゲット設定」で開発やマーケティングを進めてしまうと、範囲が広すぎるゆえに組織内でユーザー像の認識にズレが生じやすいといえます。それぞれが異なるユーザー像を想定していると商品・サービスの方向性が定まらず、無駄な工数がかかってしまうだけでなく、職場の雰囲気まで悪くなることも考えられます。

その点「ペルソナ設定」で開発・マーケティングを進めれば、具体的なユーザー像が設定されているため組織内での認識のズレが起きにくくなります。ユーザー像が統一されていると具体的なアイデアが生まれやすく、スムーズに業務を進められるため、労力・コスト削減にも繋がります。

ペルソナの設定手順

パソコンの前で話し合うビジネスマン

ペルソナの設定手順は、以下の通りです。

  • 自社分析を行う
  • 大まかなターゲット属性を決める
  • 想定するペルソナの情報を収集する
  • 具体的にペルソナを設定する

それぞれ詳しく解説します。

自社分析を行う

まず、ペルソナを設定する前に「自社分析」を行っておきましょう。自社の「強み」「弱み」を把握していなければ、ペルソナを設定しても思ったような効果は得られません。定期的に自社分析を行っている場合はこのステップを飛ばしても問題ありませんが、把握していない場合は必ず行いましょう。

自社分析にはSWOT分析がおすすめです。SWOT分析とは、Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の頭文字を取ったもので、競合や市場といった自社を取り巻く「外部環境」と、自社のブランド力や商品の品質といった「内部環境」をプラス面とマイナス面に分けて分析するフレームワークです。SWOT分析を行うことで自社を多面的に分析できるでしょう。

大まかなターゲット属性を決める

自社の分析が完了したら、次はペルソナ設定を行うために大まかなターゲット属性を決めましょう。ターゲット属性を決める際は、以下のような切り口があります。

人口統計的属性(デモグラフィック属性)

人口統計的属性とはデモグラフィック属性とも呼ばれ、主に「年齢」「性別」「職業」「学歴」「家族構成」「年収」などがあげられます。人口統計的属性は、最もよく使われる属性といえるでしょう。

「20代独身の男性」「大卒・年収500万円」などが例にあげられます。

心理的属性(サイコグラフィック属性)

心理的属性とはサイコグラフィック属性とも呼ばれ「趣味嗜好」「価値観」「信念」「購買動機」などがあげられます。この心理的属性は、ユーザーのことを理解するうえでとても大切な要素です。

「高級感よりもコスパの良いものを求める人」「週末はゴルフ三昧の人」などが例にあげられます。

地理的属性(ジオグラフィック属性)

地理的属性とはジオグラフィック属性とも呼ばれ「国」「地方」「県」「市町村」「文化」「生活習慣」「気候」などがあげられます。地理的属性によって売れ筋の商品が変わるため、地域性などに合わせた商品・サービスの戦略を立案するうえで大切な要素です。

「北海道在住の人」「近隣に何もない地方在住の人」などが例にあげられます。

行動的属性(ビヘイビアル属性)

行動的属性とは、ビヘイビアル属性とも呼ばれ「利用頻度」「利用目的」「購買状況」「行動範囲」など、ユーザーの行動そのものを表すものがあげられます。ユーザーの実際の行動をもとにしているため、その後の行動の予測がつけやすいという点が特徴です。

「美容院で月に1回パーマをかける人」「毎日Twitterを利用している人」などが例にあげられます。

想定するペルソナの情報を収集する

大まかなターゲット属性を設定したら、ペルソナに落とし込むためのデータを収集しましょう。

データの収集方法は以下があげられます。

  • 既存の顧客データ
  • インタビューやアンケート
  • Web解析データ
  • 営業担当の意見
  • Q&Aサイト
  • 競合他社の調査

データ(数値)はペルソナ設定の肝となる部分なので、徹底したデータ収集・分析を行いましょう。

具体的にペルソナを設定する

収集したデータをもとにペルソナを設定していきます。設定する項目としては、冒頭で「BtoC向け」「BtoB向け」でそれぞれ具体例をあげているので確認してみましょう。さらに具体的なペルソナを設定するのであれば「顔写真」「具体的なストーリーやエピソード」を付け加えると、より効果的です。

ペルソナを設定する際の注意点

ビックリマークが書かれたブロック

ペルソナを設定する際の注意点は、以下の4つです。

  • 定期的にペルソナを見直す
  • 抽象的すぎず細かすぎない設定を意識する
  • 思い込みや先入観のみで決めない
  • 新規顧客の目線に立つ
  • 場合によっては複数のペルソナを設定する

それぞれ解説していきます。

定期的にペルソナを見直す

一度ペルソナを設定したら終わりではなく、定期的にペルソナを見直すようにしましょう。ペルソナはデータをもとに作り出した架空のユーザー像のため、実際の顧客とのギャップが生じることも十分に考えられます。また、近年は市場環境の変化が著しいため、変化に合わせてペルソナを見直していくことが大切です。

抽象的すぎず細かすぎない設定を意識する

ペルソナ設定は、抽象的すぎると組織内でペルソナの認識違いが起きてしまい、逆に細かすぎても当てはまる人が少なくなりすぎてしまいます。収集したデータをもとに、抽象的すぎず細かすぎないペルソナ設定を意識しましょう。

思い込みや先入観のみで決めない

ペルソナを設定するときのよくある間違いとして「思い込み」「先入観」でペルソナを設定してしまうことがあげられます。根拠もなく自社に都合の良いように作成したペルソナは実際のユーザーとかけ離れていることが多いため、ペルソナマーケティングに失敗しやすくなるでしょう。ペルソナを設定する際は、収集したデータをもとに現実的なペルソナを設定することが大切です。

新規顧客の目線に立つ

自社商品・サービスを利用している既存顧客にペルソナを合わせると、新規顧客とのユーザー像とズレてしまう可能性があります。新規顧客の獲得を目的としている場合は、新規顧客の目線を持ってペルソナを設定しましょう。

場合によっては複数のペルソナを設定する

動画視聴サイトなどの場合は幅広い年代のユーザーがターゲットになるため、正確なユーザー像を描くには複数のペルソナが必要です。商品やサービスによって複数のペルソナが必要になる場合は、ペルソナごとにマーケティングの戦略を練ることが大切です。

また、前項でもお伝えしましたが、BtoBの場合は担当者に決裁権がないケースが多いため「組織ペルソナ」「担当者ペルソナ」の2つのペルソナを設定しましょう。

まとめ

ターゲット像となる人のアイコン

ペルソナマーケティングを取り入れることで、ユーザーの求める商品・サービスを提供できるほか、組織のベクトルが定まることで業務の効率化や工数の削減にも繋がります。収集したデータをもとに現実的なペルソナを設定し、より効果的なマーケティングを行っていきましょう。

TOP