【事例付き】企業のプロモーション動画の活用メリットや制作のポイントについて

撮影用のカメラ

昨今は動画メディアの台頭により、プロモーション動画を活用したいと考える企業が増えています。私たちの生活においても、事業規模や内容に関わらず、さまざまなかたちのプロモーション動画を目にする機会が増えました。

本記事では企業のプロモーション動画を活用する際のメリットや注意点、制作方法などについて詳しく解説します。具体的な活用例についても解説していますので「これから動画広告を打ちたい」「プロモーション動画を作成したい」と考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

企業のプロモーション動画とは?

ソファに座ってテレビを見る女性

企業のプロモーション動画とは、企業の取り組みや商品などを紹介するための動画のことです。そもそも「プロモーション(promotion)」は販売促進などの意味で、現在では宣伝や広報など、販売以外のことも含む意味合いとして使用します。

企業のプロモーション動画はテレビが普及してから爆発的に増加しましたが、昨今はYouTubeやTikTokなどの動画SNSが人気になったことにより、これまで以上にさまざまな企業が制作・活用するようになりました。

プロモーション動画の種類

プロモーション動画は、目的によっていくつかの種類に分類できます。主に「企業概要のプロモーション動画」「商品プロモーション動画」「ブランディング動画」「採用活動のための動画」などに分類でき、それぞれ目指す方向性・内容・動画尺なども異なります。

例えば「商品プロモーション動画」には、テレビやSNSで使用する10〜30秒尺のものから新商品説明会などで使用する5〜20分尺のものまでさまざまな種類があります。使用する場面や媒体によって適した内容や尺は異なるため、複数のバージョンを用意することも多いです。

プロモーション動画を掲載する媒体

制作したプロモーション動画を掲載する媒体は、テレビのみならず、自社のHP、YouTube・TikTok・InstagramなどのSNS、アプリゲームの広告、街頭ビジョン(デジタルサイネージ)、タクシーの後部座席広告など、さまざまなものがあります。複数の媒体に掲載するのが一般的で、プロモーション動画の内容やターゲット層に応じて媒体を選んだり、広告費の配分を調整することがほとんどです。テレビCMや街頭ビジョンは広告掲載費が比較的高額なため、昨今はSNSのみに掲載するケースも増えています。

プロモーション動画だけでなく、別途紙媒体に掲載するための広告を制作するケースもあります。この場合は、動画素材の一部を流用したり、動画撮影時に並行して静止画素材も用意して制作することが多いです。静止画広告として掲載できるものを用意することで、さらにプロモーション動画の宣伝効果を高めることができます。

企業のプロモーション動画を制作・活用するメリット

スマートフォンで撮影している

紙媒体の広告やポスター・チラシと比べて制作工程が複雑で予算も高額になりやすいプロモーション動画ですが、企業にとってはさまざまなメリットがあります。ポスターやチラシなどの静止画広告ではできない「動画広告ならではの強み」があり、時間やお金をかけるだけの価値はあるものです。昨今は動画メディアが注目されているため「とりあえず動画を作ろう」となりがちですが、活用するメリットを把握したうえで制作しないと「静止画広告のほうが安く・効果的にプロモーションできたのではないか?」という事態になりかねません。

以下のプロモーション動画に関するメリットを確認しながら、自社が伝えたいことや伝えたい人を考えて、本当に動画広告にするべきなのか、静止画広告のほうが良いのか、動画広告と静止画広告の併用で進めるのかを検討してください。

言葉や静止画では伝えにくいものを伝えられる

動画広告の強みは、言語化・具体化しにくい魅力を伝えられるという点です。

例えば、商品外観の質感・化粧品のテクスチャー・社員の話し声や雰囲気など、動画でないと伝えにくいことを分かりやすく伝えることができます。静止画広告だと文章でのプロモーションとなるため、受け手は文章を読む手間が発生しますが、プロモーション動画の場合はナレーションで音情報として説明ができるため、受け手としても手軽に情報を得ることができるのです。

認知度の向上が期待できる

紙媒体の売上は年々減少している一方、Twitter・YouTube・Instagram・TikTokなどのSNSはユーザー数が年々増加しています。こうしたSNSで活用できるプロモーション動画は、認知度の向上に大きな効果があるといえるでしょう。

プロモーション動画の場合は聴覚にも訴えかけられるため、静止画広告と比べても印象に残りやすい特徴があります。情報量も多いことから、内容が見た人の記憶に残りやすいのもメリットです。

サービスや商品の販促効果

プロモーション動画は静止画広告と比べクリック率が高く、より高い販促効果が期待できます。

株式会社ジムによる調査(*)では、静止画広告はクリック率が0.38%だったのに対し、動画広告はクリック率2.35%で6倍ほど差がつくことが分かりました。調査結果からも分かる通り、動画広告のほうが効果的に販促活動をすることが可能です。また先述の通り情報量も多いプロモーション動画は商品やサービスの魅力を余すことなく伝えられるため、興味をもってもらいやすいともいえるでしょう。

企業のプロモーション動画を制作する際のポイント・注意点

パソコンの前でコーヒーを持って話し合っている

ここまで企業がプロモーション動画を制作するメリットについて説明しましたが、実際に制作するにあたってはいくつかの注意ポイントがあります。プロモーション動画は予算も高額になることが多いため、下記のポイントを意識しながら慎重に進めましょう。

また、内容によっては「炎上」などのリスクもあり、会社の信用を傷つけてしまったり、出演者の印象を悪くする危険もあります。情報量を増やしやすい動画広告だからこそ、リスク管理を徹底して制作にあたりましょう。

予算を設定する

まずは予算の設定をしましょう。

動画広告の制作費はかなり幅があり、5万円程度のものから数千万円におよぶものまでさまざまです。また、テレビ・SNS・街頭ビジョンに掲載する場合は広告掲載料もかかりますので、そうしたコストも含めて予算を計算する必要があります。

プロモーション動画の制作費に関しては、自社で簡易的に制作する場合はほぼコストがかからず、撮影機材や編集ソフト代程度で済むでしょう。業者に依頼する場合は、アニメーションか実写かによっても異なり、また芸能人に出演してもらう場合は予算がかなり上がります。外部業者に依頼するのであれば、数百万円程度はかかると考えおくと良いでしょう。

広告費は、媒体によって大きく異なります。数万円で掲載できるものもあれば数百万円かかるものもあるため、どの媒体に掲載するか、それぞれの媒体にどの程度コストをかけるべきかの見定めが重要です。プロモーション動画の掲載媒体については、以下でも解説します。

主にどの媒体に掲載するかを明確にする

上述の通り、掲載する媒体によって広告費が大きく異なるため、ターゲット層も考えながらどの媒体に掲載するかを決めましょう。テレビ・SNS・街頭ビジョン・タクシー・Webサイトなど、媒体の種類は非常に多いため、すべてに掲載するのでなく取捨選択することが大切です。

広告費に関しては、テレビCMであれば東京のキー局では1回につき50万円程度、ローカル局では数万円程度です。街頭ビジョンであれば、都心の場合1ヶ月で200万〜500万円前後かかります。こうした不特定多数に見てもらう広告を「プッシュ型広告」といい、予算は比較的高い傾向にあります。

一方、YouTubeの場合は1回クリックされるごとに数円〜数十円で広告掲載ができます。YouTube以外のSNSもテレビCMや街頭ビジョンに比べて広告費は安価で、掲載しやすいです。また、広告を表示させるユーザーを絞ることができ、効果的に拡散できます。SNS広告は検索履歴などに連動して表示させることができ、これを「プル型広告」や「リスティング広告」などと呼びます。プル型広告は比較的予算を抑えやすいため、低コストで宣伝をしたい企業に適しているでしょう。

コンプライアンスを遵守する

「コンプライアンス」とはもともと法令遵守の意味ですが、昨今では社会規範・倫理観・公序良俗なども含めて使用することが多いです。コンプライアンスをきちんと意識して制作しないと、掲載後に炎上してしまうなどのリスクがあります。コンプライアンスは年々厳しくなっており、制作者の意図とは異なった解釈をされてしまい炎上するケースも少なくありません。そのため、コンプライアンス研修を受けるなどして制作関係者全員がコンプライアンスに対して高い意識をもつことが重要でしょう。

また、制作後にさまざまな視点から複数回チェックを行うことも必要です。これは外部の制作会社に依頼した場合であっても、自社で徹底的にコンプライアンスチェックを行うようにしましょう。そうすることで批判・炎上リスクを減らし、安心して広告を活用できます。

企業のプロモーション動画を制作する方法

パソコンで層が編集をしている女性

プロモーション動画のメリットや注意ポイントが理解できたら、実際に制作をしてみましょう。プロモーション動画の制作方法にはいくつかあり、予算や工程数が異なります。ターゲット層や活用方法によって適している方法は異なるため、下記を参考にして自社に最適な制作方法を検討してください。

広告制作会社に依頼する

プロモーション動画を制作するのに最もオーソドックスな方法は、広告制作会社に依頼することです。高品質な作品が期待でき、テレビ広告などどんな媒体で使用しても見劣りしないプロモーション動画を制作できるでしょう。

昨今はスマートフォンのカメラも高画質になり、安価な動画編集ソフトもありますが、プロ機材とは大きな差があります。また、動画イメージを絵コンテに起こし、撮影計画を練り、撮影をして編集をする手間を考えると、広告制作会社に依頼したほうが良い場合も多いです。10秒尺、30秒尺、5分尺などいくつかのバージョンを制作する場合も、ただ切り貼りをすれば良いわけではありません。それぞれ作り方や重視すべき点が異なるため、こうした複数バージョンをプロに制作してもらえば、より活用の幅が広がります。

デメリットは制作費が高いことで、予算が限られている企業には厳しいかもしれません。

しかし、上述の通りクオリティ・撮影にかかる労力・複数バリエーションを高品質で作ってもらえることなどを考えると、メリットのほうが多いでしょう。

動画SNSサイトで活躍するインフルエンサーに依頼する

YouTuberやTikTokerと呼ばれる動画サイト上で活躍するインフルエンサーに依頼する方法もあります。インフルエンサーは撮影から編集まで自分一人で行っているケースも多く、すべてその人に任せてしまえる場合は意思疎通が図りやすいというメリットがあります。また、フォロワーの多いインフルエンサーであるほど、その人のファンが買ってくれやすいというメリットもあるでしょう。「この人がおすすめするなら買いたい」と考えるファンもいるため、高い販促効果が期待できる場合もあります。

一方で、YouTubeやTikTokなどのSNS動画とテレビでは編集・演出方法が異なります。そのため、SNS以外での活用にそぐわないケースも少なくありません。また、内容や掲載方法によってコンプライアンスに違反してしまったり、ステルスマーケティングを疑われるケースもあるため注意が必要です。

自社で制作する

簡易的なプロモーション動画であれば、自社で作成する方法もあります。昨今はスマートフォンのカメラと編集アプリでもプロモーション動画は制作できるため、自社スタッフで協力して制作するのも良いでしょう。

自社で制作するメリットは、予算がかからない点です。30万円程度の予算があればミラーレス一眼レフカメラと編集ソフトが用意できるため、大画面でも粗が目立ちにくい動画を制作できます。また、社内の様子などを使いたい場合は、社内スタッフのほうが自然な雰囲気で撮影できるでしょう。

デメリットは、時間がかかること・プロのクオリティにするのは難しいこと・割いた時間分の給料を考えると費用対効果が悪かったという事態になりやすいことです。プロモーション動画を撮影するためには、コンセプトやカット割りを考えて撮影をして編集作業をする必要があります。もし撮影や編集が不慣れな場合は技術を学ぶ時間も必要となるため、かなりの時間がかかるでしょう。また、複数媒体で使用するのであれば、いくつかのバージョンを用意しなくてはなりません。こうした制作にかかる労力を考えると、外部委託したほうが早いケースも多いでしょう。

企業プロモーション動画の活用事例

街の壁に掲示されている広告

最後に、企業プロモーション動画の活用事例をご紹介します。

今回は「会社概要」「商品・サービス」「人材採用」の3つに分類して、それぞれの特徴などを解説します。プロモーション動画は、こうした分類や会社ごとに異なる特徴があり、各社さまざまな工夫をしています。

企業をプロモーション・ブランディングするケース

まず、企業を企業をプロモーション・ブランディングする事例についてご紹介します。

「#素晴らしい過去になろう(過去と未来の乾杯!)」篇 60秒 サントリー企業広告

サントリーは「水と生きる」というキャッチコピーを通じて、飲料水メーカーとして業界をリードしてきた存在です。飲料を作るのに欠かせない上質な水を作り続けるため、森林の環境整備を行ったり、ペットボトルのリサイクル率100%を目指した取り組みを行っています。そして、こうした取り組みが20年後、30年後の明るい未来を作るという思いを「素晴らしい過去になろう」というキャッチコピーにのせているのです。

このプロモーション動画では、父となった小栗旬氏を起用し、小栗旬氏にとって過去の存在となる祖父に語りかける描写を通じて、過去(祖父)・現在(本人)・未来(ご子息)を想起させ「素晴らしい過去になろう」というイメージにぴったりの情景を描いています。

第一建設工業『鉄道の仕事は、街づくりだ。ー建築ー』篇

第一建設工業は、鉄道関連の土木・建築作業を中心に手がけている会社です。このプロモーション動画は全編アニメーションで、主人公の幼少期と現在を行き来しながら「アイドルと土木事業に共通する魅力」を描いています。

アイドルに比べ体力勝負で泥臭い仕事というイメージの強い土木事業ですが、現場監督として人前で声を出すことや自分の仕事で人々を笑顔にできているという描写によって、アイドルと同じように魅力的な仕事であることをアピールしています。

商品・サービスをプロモーションするケース

つづいて、商品・サービスをプロモーションする事例についてご紹介します。

新しいMacBook Air | M2の驚異的なパワー、内蔵 | Apple

世界的なデジタルデバイスメーカーであるAppleのノートパソコンのプロモーション動画です。この動画は1分尺のため、製品がもつさまざまな魅力を網羅的に説明しているものとなっています。特徴は無重力空間のような描写で、全編通してすべての物が浮遊しているのが印象的です。

驚異的な製品の軽さや、高い処理性能により縦横無尽にさまざまな作業を行えること、ほかのデバイスとも軽やかに連携できることなどが、この無重力空間によって分かりやすく直感的に伝わってくるプロモーション動画になっています。

黒ラベル 大人EV 2022年リニューアル篇 30秒

45年にわたるロングセラーとなったサッポロ生ビール「黒ラベル」のリニューアルを宣伝するプロモーション動画です。サッポロ生ビール黒ラベルはもともと「大人エレベーター」というシリーズCMを展開しており、今回もそのエレベーターに乗って歴史を振り返る内容となっています。

特徴は主演の妻夫木聡氏が各時代に合わせた衣装・髪型に変身し、さらに画質もその当時を再現している点です。これにより30秒という短い尺の中でも時代ごとの雰囲気を感じやすく「長く愛されてきた製品」ということが伝わりやすい内容となっています。

人材採用のために活用しているケース

最後に、人材採用のために活用している事例についてご紹介します。

ソニーグループ 採用ムービー

ゲームやスマートフォンなどのデジタルデバイスだけでなく、金融・マネジメントなど幅広い事業を行っているソニーグループの採用活動向けプロモーション動画です。6分弱という比較的長い動画ですが、この動画1つで就活生の不安がしっかりと解消される内容となっています。

1900年代のようなサイレント映画風の要素を取り入れることで視覚的なおもしろさが増幅しており、視聴環境などによって音を聞くことができなくても理解できる仕上がりになっているのも特徴です。ソニーグループの芸人を起用することで「ゲーム機器メーカー」というイメージが強い、ソニーの事業領域の広さをアピールすることもできているといえるでしょう。

【CAINZ】採用メッセージ

ホームセンター大手のカインズが制作した採用プロモーション動画です。4分半の動画で「価値観」「会社の雰囲気」「ミッション」「目指す未来」「メッセージ」すべてが理解できる内容となっています。

特徴は年齢・性別がバラバラの社員を起用している点で、多様な視点からの意見を知ることができ、さまざまな社員が同じ方向を向いている会社であることが伝わる内容となっています。また、複数のコメント映像をバラバラに流しながらもテーマごとにまとめることで、散漫な印象にならないよう工夫されているのも特徴的といえるでしょう。

まとめ

パソコンとノートパソコン

本記事では、企業のプロモーション動画の活用について、メリット・注意点・制作方法・活用事例などを解説しました。

プロモーション動画は、予算・制作方法・掲載媒体などが非常に幅広いため、企業規模やプロモーションしたい内容に合わせて制作・掲載できるのが大きな強みです。予算が限られている企業でも、制作方法や広め方を工夫すれば低予算で効果的にプロモーション動画を活用できます。ぜひこの記事を参考に、自社に合ったかたちでプロモーション動画を制作・活用してみてください。

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