SNSやホームページでの「Web集客」に力を入れる企業は年々増加しています。昨今はTikTokやYouTubeなどの動画メディアが流行したことで、さらに多種多様な取り組みで集客に成功する企業が増えました。これを見ている方でも「Web集客に注力したい」という方が多いかと思いますが、SEO・MEO・リスティング広告など専門用語も多く、興味はあるけどよく分からないという方や、取り組んでいるけれど効果が見えないという方も少なくないのではないでしょうか。
そこで本記事では、Web集客の特徴や種類、メリット・デメリットなどについて詳しく解説します。Web集客のコツや具体的な活用事例もご紹介しますので、Web集客について悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
Web集客とは?

Web集客とは、インターネット上で行う集客活動全般を指す言葉です。主な例としてはホームページ・SNS・Web広告を用いた集客活動などがあります。こうしたインターネット上の集客活動は従来の集客方法に比べてメリットが多く、2000年代に入ってから注力する企業が増えました。
Web集客が普及するよりも前にあった集客方法としては、雑誌・新聞などの広告・電車や駅構内の広告・街頭ヴィジョン(デジタルサイネージ)・ポスティング・CMなどがあります。これらの集客方法はWeb集客よりも優れた点がある一方で、コストが高いことや集客できる範囲があまり広くなく、スピード感などでWeb集客に劣る部分があります。
Web集客は予算が少なくても利用可能で、紙媒体と比べて素早く集客が行える点など、メリットが多い集客方法です。そのため、導入する企業が多く、中小企業や個人事業主から上場企業まで幅広い事業主が用いるようになりました。
Web集客のメリット・デメリット

Web集客は従来の方法と比べてメリットの多い集客方法で、企業規模に関わらずさまざまな方におすすめできます。
ただし、Web集客ならではのデメリットもあり、強みを活かせる使い方をしないとコストを無駄にしてしまう可能性があります。また、Web集客にはインターネットを用いる集客方法ならではの難しさやリスクもあります。以下でWeb集客のメリット・デメリットについて詳しく解説しますので、自社のビジネスに適した集客方法なのかをしっかりと吟味したうえで導入を検討してください。
Web集客のメリット
前述の通り、Web集客は多くのメリットがある集客方法で、企業規模や業種にかかわらずさまざまな方におすすめできます。
Web集客におけるメリットは、以下の3つです。
- 広い顧客層にアプローチできる
- 特定の層にアプローチすることができる
- 紙媒体よりも速く広告を出せる
上記3つのメリットについて、以下で詳しく解説します。
広い顧客層にアプローチできる
Web集客の強みは、エリアにかかわらずさまざまな人にアプローチができる点です。
複数店舗を展開している事業や首都圏に住む人全体に集客をかけたい際などにWeb集客は適しています。また、世界に向けて集客をかけられるため、観光ビジネスを運営している場合でも、海外を含め広い範囲に集客をかけることができるでしょう。紙媒体やテレビではできないような広い範囲に向けて集客を行えるのは、Web集客ならではの強みです。
特定の層にアプローチすることができる
広い範囲に集客をかけることができる一方で、自社サービスに興味がありそうな特定の層にのみアプローチすることもできます。代表的なものに、ユーザーの検索履歴や閲覧履歴などをもとに、その人の興味関心に合わせた広告を表示できる「リスティング広告」があります。
リスティング広告の場合は、広告を表示させるユーザーを絞れる分、コストを抑えて広告運用をすることができます。予算があまりない企業でも広告を打ちやすく、広告料を無駄なく使えるのが大きなメリットでしょう。
紙媒体よりも速く広告を出せる
紙媒体の場合は、広告出稿から印刷、販売店への発送、そして購入というプロセスを踏んで初めて効果を発揮するため、集客効果が出るまでに時間がかかります。
一方、Web集客であれば、ホームページに掲載したり広告を出せばすぐユーザーに表示されるため即効性が高いです。さらに、期間限定のイベントであれば、イベントの3ヶ月前・1ヶ月前・1週間前でそれぞれ広告内容を変えて広告を打ち出すこともできます。こうした柔軟性もWeb集客のメリットで、よりタイムリーな情報を入れながら集客できるでしょう。
Web集客のデメリット
工夫次第で大きな集客効果を発揮し、幅広い可能性を持つWeb集客ですが、使い方によっては損失を生んでしまう可能性もあります。
Web集客におけるデメリットは、以下の3つです。
- 低コストで集客できるため競合他社が多い
- 地域密着型ビジネスの場合は、効果が出にくい
- 批判・炎上リスクがある
上記3つのメリットについて、以下で詳しく解説します。
低コストで集客できるため、競合他社が多い
低コストで手軽に行えるのがWeb集客のメリットですが、競合他社は非常に多いです。そのため、Web広告を出しても競合他社が多すぎて埋もれることも多く、検索流入を狙っての集客はかなり難易度が高くなっています。
また、SEO対策業者などを導入してホームページへの流入を増やしても、費用対効果としてはあまりよい結果が出せず、逆にコストが高くついてしまうケースも少なくありません。人気のある業種であればあるほど、Web集客で効果を出すのは難しくなっているのが現状です。
地域密着型ビジネスの場合は、効果が出にくい
Web集客は広くさまざまな方にアプローチできる半面、店舗ビジネスなど地域密着型のビジネスだと効果が出にくい傾向があります。これは、さまざまな人にアプローチしようとすると大きなコストがかかるだけでなく、母数が増えるために実際の来店数を考えると効率が悪くなりやすいためです。
また、広くアプローチしようとすると集客の軸がブレやすく、結果として誰の目にもとまらない、記憶に残りにくい集客になってしまうのも要因のひとつと考えられます。観光ビジネスなどで広くアプローチしたい際にも、どのような人に来て欲しいのかという「ペルソナ設定」をしっかりと行ったうえで集客をするのがよいでしょう。
批判・炎上リスクがある
Web集客は非常に多くの方にアプローチできますが、さまざまな解釈をされることから、内容や方法によっては想定外の批判を受けてしまうことがあります。
例えば、Web広告を打った際に「この内容は差別的な内容では?」「時代に合っていないのでは?」といった批判を受けたり、SNSの投稿に対して「こんな雰囲気のお店は利用したくない」「センスがない」などと非難を受けてしまうこともあります。こうしたネガティブな反応を受けてしまうと、場合によっては経営を揺るがす事態にもなりかねません。できる限りこうしたリスクは避けたいものですが、批判・炎上リスクは年々高まっているため、コンプライアンスの意識も高まっているといえるでしょう。
Web集客を行う際には、コンプライアンスに対する知識を担当者全員が身につけたうえで行うことが重要です。
Web集客の種類

Web集客はホームページ上での集客活動全般を指す用語のため、いくつかの種類に細分化できます。種類によって無料のものと有料のものがあり、有料のものの中にも低コストでできるものと高コストのものがありますので、事業規模や内容に合わせて選択するとよいでしょう。
また、昨今では複数のWeb集客手法を組み合わせるのが一般的です。どの方法を組み合わせるかによって効果にも影響が出ます。それぞれの特徴をしっかりと理解しながら、自社のビジネスに合わせて運用していきましょう。
自然検索からの集客
自然検索(Organic Search)とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンを用いて検索することを指します。例えば「京都 料理店」とGoogleで検索したユーザーが自社サイトに訪れて集客に繋がった場合は、自然検索からの集客といえるでしょう。
こうした自然検索において、表示順位を上げ、より自社サイトが見られやすくする取り組みを「SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)」と呼びます。SEOによる自然検索からの流入が増えると、より低コストで多くの顧客を呼び込むことができるため、SEOは昨今のWeb集客において最重要といえるものになりました。
SNSからの集客
SNSからの集客は2010年代から急速に重要視され始めたものです。主要なSNSにはTwitter・Facebook・Instagram・TikTok・LINEなどがあります。それぞれメインユーザー層や特徴が異なるため、ビジネスの内容やターゲットに合わせて利用するSNSを選択するとよいでしょう。
SNS集客の強みは、より顧客と近い距離でコミュニケーションをとれる点です。写真や文章を手軽に発信できるため、日々のお店の様子や新商品などを毎日投稿可能で、それに対するフォロワーの反応に対しても即座に返信できます。こうした日々の取り組みは、顧客に「信頼感」や「親近感」をもたせ、コアファンを作ることにも繋がるでしょう。
Web広告を用いた集客
Web広告を用いた集客は、ほかの方法に比べて即効性があるのが大きな特徴です。前述のSEOやSNS集客は効果が出るまでに数ヶ月〜数年かかるケースが多いですが、Web広告による集客の場合はコストをかけるほど多くの人に見てもらいやすく、顧客が0の状態でも多くの人に見てもらうことができます。そのため、期間限定のイベントや開店記念などの集客を行う際には、Web広告はとても適しているでしょう。
ただし、広告を止めると、その瞬間から集客効果が激減することも少なくありません。継続的に集客をしていきたい場合にはWeb広告以外の方法も組み合わせる必要があるでしょう。
メール
メールマガジン(メルマガ)に代表されるメールでの集客は、インターネット黎明期から長く利用されてきた集客方法です。昨今はこのメールマガジンが再注目されており、費用対効果や集客効果の高いものとして導入する企業が増えています。
メールの強みは、顧客に対してダイレクトにアプローチできる点です。ホームページやSNSなど広く市場にアプローチする「プル型」と異なり、顧客に直接アプローチする「プッシュ型」であるメールは、ブランディング効果を高めたり低コストで効率よく集客するのに適している集客方法といえるでしょう。また、SNSよりも長文記事を提供するのに適しているため、商品やお店の魅力を紹介する際にもおすすめの方法です。
外部サイトからの流入
外部サイトとは、自社のホームページ以外のWebサイトを指します。ブログ・SNS・ニュースサイトなどの自社を紹介しているサイトから自社のホームページに訪れ、それが集客に繋がるという方法です。
外部サイトで自社ホームページが紹介されると、SEOにおいて有利になる「被リンク」と呼ばれる効果が発生します。また、顧客としても第三者がおすすめしているという信頼感が生まれるため、効果的な集客方法のひとつといえます。
Web集客のコツ

さまざまな種類があるWeb集客ですが、効果的に集客を行うためにはいくつかのコツがあります。種類によっては世界中にアプローチでき、さまざまな可能性があるWeb集客ですが、使い方によってはまったく効果が出ないこともあるでしょう。
下記のコツを参考に、効果的な集客ができるよう工夫してみてください。
ターゲット設定(ペルソナ設定)を明確にする
Web集客は広くさまざまな見込み顧客にアプローチできるからこそ「どんな人に来て欲しいか」というターゲット設定(ペルソナ設定)が非常に重要となります。ターゲット設定があいまいだと、その企業の特徴や魅力が見えにくくなってしまい、競合他社と差別化できないためです。
自然検索からの流入を狙うのであれば、どんなニーズがあり、どんなワードで検索する人をメインターゲットにするかを明確にしましょう。また、年齢層・所得・関連するニーズなども調べながら「どのような人をターゲットにするか」を設定することで、どのように集客を行うかの指針が明確になります。
業種ごとに適したWeb集客方法を用いる
Web集客にはさまざまな方法があり、業種ごとに適している方法は異なります。
飲食店の場合は「ぐるなび」「食べログ」などのポータルサイトでの集客やSNS集客が適していますが、イベント集客の場合はSNS集客のほかに動画メディアを用いた集客が適している場合も多いです。SNS集客でも、中高年向けビジネスならばFacebook、若年層向けならInstagramやTikTokと、メインターゲットの年齢層によって適しているSNSは異なります。SNSのそれぞれの特性や年齢層をしっかりと把握しながら、ビジネス内容に合わせた選択をすることも大変重要です。
短期的視点だけでなく、長期的視点をもつ
Web集客は、効果が出るまでに最低でも数ヶ月程度かかることがほとんどです。短期的な視点で効果がないと判断せず、長期的な視点からの取り組みが非常に大切でしょう。最初の数ヶ月は効果がなかったとしても、適切な取り組みを続けることで半年後には大きな効果を発揮することも多いのです。
即効性のあるWeb広告と、時間はかかるものの安定した集客が見込める自然検索からの集客を組み合わせるなど、複数の手法を組み合わせたり段階ごとに変えるのも効果的でしょう。また、有料施策を組み合わせる場合は予算配分を随時変化させるなどすると、より効果的に結果を出せる可能性が高まります。
Web集客の成功事例

Web集客によって成果を上げた企業は非常に多く、そうした成功事例を知っておくとWeb集客を行ううえでとても役立ちます。Web集客は相手が見えにくいからこそ、さまざまな成功事例を知っておくことで成功までの道のりがイメージしやすくなるのです。
今回は「飲食業」「学習塾」「金融・保険業」の3業種において、Web集客で成功した事例をご紹介します。それぞれの集客方法や効果が出た理由などを詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
LINE公式アカウント導入5日で650組の集客に成功/株式会社アークミール
「ステーキのどん」を運営する株式会社アークミールは、LINEの企業向けアカウントである「LINE公式アカウント」を導入し、導入から5日間で約650組を集客することに成功しました。これはSNSでの集客による成功例といえます。
LINE公式アカウントでは、顧客のLINEアカウントに対してお店の情報を発信でき、さらにLINE上から予約を受けることも可能です。また、クーポンを配布することも可能で、日常的に利用するLINEで予約できる手軽さやクーポン配布によるリピーターの獲得によって、現在でも安定した集客を獲得しています。
参照元:導入から5日間で約650組が「LINEで予約」を利用!「ステーキのどん」が実感した「LINEで予約」の活用メリット
SEOによって新規ニーズ獲得に成功/学校法人 駿河台学園
駿河台学園は、刷新から10年経ち、古くなったホームページのリニューアルをSEO専門業者に依頼しました。その結果、サイトの利便性向上だけでなく、今まで取れていなかった検索ワードでも上位を獲得できるようになったのです。
具体的には、古いコンテンツや重複したコンテンツの整理・デザインやUXの見直し・コラムの新設などを行い、自然検索からの流入強化を図りました。検索ニーズの調査やヒートマップの活用など、専門的なチームが技術と内容の双方から改善したことによって使い勝手が向上し、今まで圏外だったワードでの上位表示などの結果が表れ、新たなニーズのある顧客の獲得に繋がりました。
参照元:学校法人 駿河台学園様 リニューアルで全体最適化! 新たなニーズ獲得に成功したSEO事例
MEOツールの導入で口コミ件数が向上/株式会社ライフサロン
「ほけんの相談ショップ」を運営する株式会社ライフサロンでは、Googleマップ上での情報を管理や分析・改善が可能なMEO管理ツール「Canly」を導入した結果、口コミ件数が向上しました。株式会社ライフサロンでは、以前からGoogleマップ上の情報を管理する「Googleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)」を導入しており、GoogleマップからWebサイトへの流入があることは把握していました。
しかし、担当者が一人であることやコンプライアンスが厳しい保険業のため各店舗のスタッフにMEO業務を任せることが難しいことなどの課題があり、Googleビジネスプロフィールを活用できていませんでした。そこで、Googleビジネスプロフィールを管理するツール「Canly」を導入した結果、店舗スタッフとの連携がスムーズになり、情報発信頻度が向上しました。こうした取り組みが功を奏し、口コミ数も向上したのです。
参照元:Googleビジネスプロフィールの運用体制を構築し、現場からの情報発信頻度やクチコミ件数の向上を実現!
まとめ

本記事では、Web集客についての特徴・具体的な方法やコツなどを解説しました。
Web集客はさまざまな人にアプローチ可能で、あらゆる業種に適した集客方法であるといえます。また、紙媒体や街頭ビジョンなど従来の集客方法と比べて低コストで行えるのも魅力で、事業規模が小さな企業であっても非常に大きな効果を出すこともできます。この記事を参考に、業種・企業規模・事業内容に合わせて最適なWeb集客を行ってみてください。