お気軽にお問い合わせください
マーケティングリサーチとは?マーケットリサーチとの違いと調査方法
2023年04月23日更新日:2024年04月19日
近年、ニーズが多様化するなかで、企業がそれぞれの市場で生き残るためにも市場調査は重要視されています。「市場調査はどのようなことをするのか」「マーケットリサーチとは何なのか」 と疑問に思う人も多いでしょう。
そこで今回は、マーケティングリサーチの基本情報をはじめ、マーケットリサーチとの違いやメリットなどについて詳しく紹介していきます。
マーケティングリサーチとは?
マーケティングリサーチとは、企業のあらゆるマーケティング課題に対して、有効な意思決定をサポートするための調査や分析を指します。企業にとって必要なさまざまなデータを収集・分析をすることで、企業の将来的な構造材料を把握することができるのです。
マーケティングリサーチは、消費者やターゲットとなる顧客からデータを収集し、そのデータをもとに分析する調査を行います。「自社が提供する商品やサービスはどのくらい認知されているのか」「どのように利用されているのか」「どの世代に需要があるのか」などの情報を知ることができ、企業の売上や認知度の向上のために必要不可欠です。
顧客のニーズを踏まえた企業活動を行うためには、企業の規模に関わらず、 顧客のニーズを分析するマーケティングリサーチは非常に有効な手法といえます。
市場調査(マーケットリサーチ)との違いは?
マーケティングリサーチと似たような調査方法として、市場調査(マーケットリサーチ)というものがあります。市場調査は、具体的に数値化した市場の状況を把握して、その後のマーケティングリサーチに活かすことが目的です。
例えば飲食店の場合、顧客を獲得して店舗の売上を伸ばすためには「誰が利用しているのか」などの顧客のニーズを把握して、提供する料理や店舗の内装などを考える必要があります。
これらを把握するためには、次のような市場調査を行います。
- 近隣エリアの類似飲食店の数
- ターゲットの年齢層や性別
- 1人あたりの費用
- 飲食店の利用目的
- サービス
このような市場調査を実施すれば、オフィス街の近くに店舗を出店する場合「ランチの需要が高いため、回転率が大切」「ワンコインで食べられる料理の提供」「お持ち帰りメニューの開発」などといった戦略に繋げられます。
一方で、マーケティングリサーチは、数字のみで把握するのではなく、店舗や企業の将来的な動向なども分析します。飲食店を例にすると、アンケートなどで「店員の活気がいい」「丁寧に対応してくれる」などという声が挙げられた場合、接客技術を磨いたり従業員を増やしたりすることで顧客満足度をより高めることができます。
市場調査と違い、数字だけでは表せない要素とマーケットリサーチの数字を掛け合わせることで、企業や店舗の将来的な戦略を立てることができるのです。
マーケティングリサーチをするメリット
ここでは、マーケティングリサーチをするメリットについてご紹介します。
マーケティングリサーチには、次のようなメリットがあります。
- 直接調査できる
- 失敗するリスクを軽減できる
- 新しい商品開発に活かせる
- 企業の方向性が可視化できる
それぞれ解説していきます。
直接調査できる
マーケティングリサーチは「顧客が何を考えていて、どのような行動をするのか」を直接調査できるというメリットがあります。調査には時間と手間がかかってしまいますが、調査を行うことで、より現実的な仮説を立てて戦略を考えることができます。
マーケティングリサーチは、顧客がどのようなものを求めているのかを判断する情報を得るためのものですので、大きなメリットといえるでしょう。
失敗するリスクを軽減できる
マーケティングリサーチをすることによって、失敗するリスクを軽減できるというメリットがあります。特に新しい商品やサービスを提供したい場合、マーケティングリサーチをしておけば大きな予算が無駄になることもなく、事前に広告やテスト品を試してみて、それを改善に活かすことができます。
逆に、マーケティングリサーチをせずに提供した新しい商品やサービスが失敗してしまうと、莫大なコストが無駄になってしまいます。
マーケティングリサーチをすることで失敗するリスクを軽減できる点は大きなメリットといえるでしょう。また、マーケティングリサーチをすることで今まで気が付かなかったような新しい課題が見つかることもあり、ビジネスリスクの軽減に繋げられるといえるでしょう。
新しい商品開発に生かせる
マーケティングリサーチは、新しい商品開発に活かせるというメリットもあります。商品やサービスの開発には、顧客のデータが必要不可欠です。提供する側の予想や想像だけで商品やサービスを開発したとしても、あまり効果を得られないことが多数あります。
しかし、実際に店舗を訪れたり、企業の商品やサービスを利用している消費者のリアルな声やデータを分析して商品開発をしたりすることで、より顧客満足度を高める商品開発が可能です。
企業の方向性が可視化できる
マーケティングリサーチを実施することで、企業の方向性が可視化できるというメリットもあります。
マーケティングリサーチで得られた販売シェア動向などのデータは、今後の企業の方向性を決める重要なデータとなります。特に、新規事業を検討している企業の場合は、集められたデータからどのような商品やサービスを開発すればよいのか、どの商品サービスの参入メーカーを増やせばよいのか、販売先をどうすればよいのかなど、具体的なイメージが湧いてくるでしょう。既存の事業の場合でも、今後どのような取り組みを行えばよいのかが明確になるため、商品やサービスの好評・不評の要因を把握することは大いに役に立ちます。
ただし、企業にとって重要な調査であればあるほど専門的なノウハウが必要になることもあるため、自社で行うだけでなく、マーケティングリサーチ会社に依頼してみるのもおすすめです。
マーケティングリサーチの調査方法
マーケティングリサーチの調査方法には、大きく分けて次の2つの手法があります。
- 定量調査
- 定性調査
調査方法や目的が異なるため、詳しく解説していきます。
定量調査
定量調査とは、次のような調査のことを指します。
- Web調査
- 電話調査
- 郵送調査
- 会場調査
それぞれについて、詳しく解説します。
Web調査
Web調査は、インターネットを利用している顧客に対してアンケート調査を行います。地域に限定されないため、たくさんのターゲットを調査することができます。
ただし、対象者はインターネットを利用している人に限られます。
電話調査
電話調査は、名前の通り電話でアンケートを取る方法です。地域が限定されず、インターネットを利用していないターゲットにもアプローチできるメリットがあります。
しかし、電話調査は1件1件アンケートを取る必要があるため、手間や時間がかかるというデメリットがあります。
郵送調査
郵送調査は、アンケート用紙を郵送してアンケートに回答してもらう調査方法です。不特定多数のターゲットにアプローチできますが、100%の回答が取れるという保証はなく、アンケート用紙を作成・郵送する手間や時間がかかるというデメリットがあります。
会場調査
会場調査は、あらかじめ用意しておいたアンケート用紙を会場に来た対象者に渡し、回答してもらう調査方法です。地域が限定されるというデメリットはありますが、ほぼ確実に調査を行えるというメリットがあります。
定量調査では、政府が提供している統計データや調査専門会社の調査データなどを活用して調査することも可能です。
定性調査
定性調査は、次のような調査のことを指します。
- インタビュー
- 訪問面接調査
- 行動間接調査
それぞれについて、詳しく解説します。
インタビュー
インタビューは、複数の消費者を集めて質問などにより情報を得る調査方法です。一度に多くの情報を集めることができますが、本音で話しづらい人のリアルな声については調査できない可能性があります。そのような場合は、消費者と1対1でインタビューを行うこともあり、一人の意見を深くまで調査することも可能です。
訪問面接調査
訪問面接調査は、実際に自社の商品やサービスを利用している顧客の家庭を訪問して、どのように自社製品を使っているのかを調査する方法です。実際に目で見て確認できるメリットがあり、自宅で調査を行うため、顧客側もリラックスして調査を受けることができます。
行動間接調査
行動間接調査は、現実に近い環境を用意して、自社の商品やサービスがどのように使われるのか、どのような意思決定が行われるのかなどを調査します。費用がかかるいうデメリットがあるため、注意が必要です。
そのほかのマーケティングリサーチの調査方法
調査方法は、そのほかにも以下のようなものがあります。
- ソーシャルリスニング
- パネル調査
- 覆面調査
それぞれについて、解説していきます。
ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングは、TwitterやInstagramなどのSNS上に投稿されたユーザーのリアルな声を集めて分析に活かす調査方法です。アンケートではなくユーザーの生の声を聞けるため、より正確で、ユーザーが抱える悩みや不満などを分析に活かすことができます。
パネル調査
パネル調査は、対象となるユーザーに対して一定期間継続して質問をしていく調査方法です。自社の商品やサービスに対するリアルな意見を知るために調査することが多いです。
覆面調査
覆面調査は、実際に営業をしているお店に調査員が赴いて調査する方法です。調査員が自由にユーザーの意見を聞けるだけでなく、サービスの質なども同時に調査できるという特徴があります。
マーケティングリサーチの流れ
最後に、マーケティングリサーチの流れについて紹介します。
マーケティングリサーチは、主に次のような流れに沿って進めていきます。
- 企画
- 設計
- リサーチ
- 分析
- 提案
それでは、流れに沿って詳しく確認していきましょう。
1.企画
まずは、調査目的となる内容を明確にして「どのようなデータを収集する必要があるのか」「企業の将来のためにどのようなデータが必要なのか」など、調査目的を明確にします。
企業が抱える問題を明確にしたうえで、その問題を解決するために必要なデータは何かをイメージしてください。調査目的が明確であれば、その後の調査設計もスムーズに進めることができ、効率的な調査が可能です。
逆に、この時点で調査目的が不明確な場合、どのようなデータを分析しても最終的なゴールに辿り着くことは難しくなる恐れがあるため、注意が必要です。
2.設計
次に、企画設計の決定です。
マーケティングリサーチを行うためには、次のような項目を決めておく必要があります。
- 調査対象者
- 調査する項目
- 調査する方法
- 調査をする人数
- 調査を終えるスケジュール
まずは「誰に」「どのような調査方法で」「いつ調査をするのか」などの詳細を決めておくことが重要です。ユーザーの声や企業の目的に合った調査目的を達成するためには、適切な調査が重要です。
3.リサーチ
続いて、リサーチを実施します。実施する調査方法はさまざまです。自社の目的に合った調査方法で、企業やユーザーが抱える課題の改善に努めましょう。
先述した通り、主なリサーチ方法は以下のようなものがあります。
- Web調査
- 電話調査
- 郵送調査
- 会場調査
- インタビュー
- 訪問面接調査
- 行動間接調査
- ソーシャルリスニング
- パネル調査
- 覆面調査
4.分析
続いて、実際に調査を行い、集めたデータをもとに分析します。
データの活用方法はさまざまですが、調査した結果「何を得られたのか」「調査結果をもとに何をしなければいけないのか」などを示唆することが最終的な企業が求めるゴールとなることでしょう。
5.提案
最後に、収集したデータを分析し、新たな施策を提案します。
課題によって提案内容が異なり、費用が発生する場合はすぐに実行できないことも多いでしょう。「提案内容はすぐに実施すべきなのか」「もう一度調査が必要かどうか」については、企業の経営層や担当者に相談するようにしましょう。
基本的にはこのような流れでマーケティングリサーチを実施します。1回の調査ですべての課題を解消できるわけではありません。定期的に調査を行い、企業の将来的なビジョンを定めるように努力してください。
マーケティングリサーチを行ううえでのポイント
マーケティングリサーチは、ただ行うだけでは意味がありません。目的や仮説を立てたうえで、適切な設問を用意して行うようにしないと、調査結果がうまく活用できない可能性が高くなります。
以下の項目では、マーケティングリサーチを行ううえでのポイントを3つご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目的を明確にする
「どのようなことに活用するリサーチなのか」を明確にすると、適切な設問を設けられて、結果を活用するのもスムーズになります。リサーチの目的があいまいだと、得られた結果をどのように活用すべきかわからず、最悪の場合は「なんとなく想像通りだった」といった結論に至ってしまう可能性もあるでしょう。
マーケティングリサーチは、これまでわかっていなかった消費者のニーズや企業の改善点を洗い出し、商品やサービスの向上に繋げるためのものです。結果をしっかりと活用するためにも「何が課題なのか」「課題を解決するために欲しい情報は何か」を洗い出したうえで、明確な目的を設定してリサーチしましょう。
仮説を立てる
仮説を立てると、どのような設問を設ければよいかが考えやすくなります。例えば、食品を扱う企業がマーケティングリサーチをするのであれば、以下のような仮説が考えられるでしょう。
【マーケティングリサーチの仮説の例】
- 今回のSNS広告の反応がよくなかったのは、若年層向けでカジュアルな内容に偏りすぎて、企業イメージとして根強かった「安全・信頼」「老舗」といった印象とかけ離れていたからではないか
- パッケージリニューアルが失敗したのは、ブランドイメージとパッケージデザイン(配色、方向性など)がマッチしておらず、顧客から認知されにくくなったからではないか
- 大容量商品の売上が減少しているのは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って巣ごもり需要が高まり、売上の60%を占めていた「バーベキュー用の購入」が減少したからではないか
仮説を立てる際は、上記のようにできるだけ明確にするのが大切です。仮説が抽象的だと、設問も抽象的になってしまい、結果自体もあまり参考にならなくなってしまいます。仮説が明確であれば、課題や問題点を細かく分析できるような結果が得られるでしょう。
自社で行うのが難しい場合は外注する
自社でリサーチを行うのが難しい場合は、外注しましょう。マーケティングリサーチを行う場合は、誰にリサーチするか、どのような回答方式にするか(選択、自由記述など)、設問数はどうするかなど、さまざまな点に留意する必要があります。内容が適切でないと、欲しかった情報が得られなかったり、適切な回答が得られなかったりするため、注意が必要です。
アンケート調査を考える際には、想像以上に気を遣うポイントがたくさんあります。せっかくマーケティングリサーチを行うのであれば、より有益な情報を得られるに越したことはありません。リサーチのノウハウがなく、業務負担も増えすぎると思う場合には、積極的に外注を検討してください。
マーケティングリサーチを行ううえでの注意点
マーケティングリサーチは、やり方を間違えるとまったく意味のない回答が返ってきてしまう可能性があります。どのような設問にするかだけでなく、設問の数や調査方法など、さまざまな点に注意しなくてはなりません。
特に注意すべき点を以下にまとめましたので、これからマーケティングリサーチを行う方は、ぜひ参考ににしてください。
仮説を裏付けるための設問を作らない
「〜のはずだ」と考えて、仮説を裏付けるような設問を設けてしまうと、回答を誘導するようなリサーチになってしまいます。場合によっては、偏った結果になってしまうでしょう。適切な回答を得られるように、誘導尋問のような設問は作らないように注意してください。
適切な回答をしてもらうためには、いくつかの仮説を設けるのがおすすめです。「必ずこうだ」というものではなく「市場ニーズから考えるとAの可能性がある」「既存顧客からの反応を踏まえるとBの可能性がある」といったかたちで、さまざまな仮説を考えておくと、設問自体もさまざまな意見を反映しやすいものになります。
ビジネスの段階に注意する
調査したい内容がどの段階なのかによって、リサーチ方法は大きく異なります。例えば、新ブランドのコンセプトを決める段階で、マーケティングミックスに関わる調査をしてもあまり意味がありません。現在、ビジネスがどの段階なのかを見極めて、適切なリサーチができるようにしましょう。
ビジネスの段階が定まったら、調査方法を決定します。前述したような「Web調査」「対面調査」「電話調査」など、調査方法はさまざまです。求めている情報に対して、適切な回答が得られるものを選択しましょう。
結果をそのまま正解とは考えない
マーケティングリサーチの回答は、設問の内容や調査方法などに左右されるため、必ずしも正しい情報を表しているとは限りません。何らかの判断をする場合は、複数の調査結果を用いて、総合的に判断するのが好ましいでしょう。
ひとつの調査結果をそのまま正解と考えてしまうと、大多数の消費者が求めているものとは真逆の方向にいってしまう場合もあります。また、明確な問題点があるのにも関わらず、気付かずにリリースしてしまうケースもあるでしょう。調査結果を適切に扱うために、ひとつの調査結果だけでなく、類似の調査結果をいくつか用意しておくのがおすすめです。
想定外の回答は慎重に扱う
想定外の回答があったら、無視はせず慎重に扱いましょう。想定外の回答を無視してしまうと、重要な課題点を見落としてしまいます。また、商品やサービスの新たな可能性や、発展のさせ方に気付かないままプロジェクトが進んでしまう可能性もあるでしょう。
想定外の回答が複数あったら、仮説の見直しや現状の認識不足に気付くチャンスです。なぜそのような回答が得られたのか、仮説や認識に誤りがあるとしたらどのような部分かなどを考え、調査結果を活用していきましょう。
設問数を増やしすぎない
設問数を増やしすぎると、回答者の集中力が落ちてしまい、適当に回答される可能性が高まります。回答形式にもよりますが、25問以上にわたる設問を設ける場合には、特に注意が必要です。選択式の設問を増やしたり、選択肢自体を答えやすいシンプルなものにしたり、さまざまな工夫をしましょう。
特に、自由記述式の設問を大量に設けると、回答者は非常に面倒な気持ちになってしまいます。Webで回答するタイプのアンケートの場合は、自宅でリラックスした状態で回答することが多いため、特に面倒に感じやすいでしょう。回答者が最後まで集中して回答してくれるように、設問数や回答形式には注意してください。
否定疑問文のように解釈が分かれる表現は使わない
適切な結果を得られるように、人によって解釈が異なりやすい表現は使わないようにしましょう。解釈が分かれる表現を使うと、具体的にどのような意思で回答したのかがわからなくなってしまいます。
人によって解釈が分かれる表現として、代表的なものに「否定疑問文」があります。否定疑問文とは「〜ないですか?」のように否定+疑問といったかたちの文章です。例えば「疲れないですか?」という質問に「はい」と回答した場合「はい、疲れないです」と「はい、疲れます」という2種類の意味が考えられます。回答の真意がどちらかわからなくならないように、誰が読んでも同じ意味として捉えられるような文章にしましょう。
マーケティングリサーチの事例
マーケティングリサーチの事例を知っておくと、実際に調査する際のイメージが湧きやすくなります。どのように調査をして、どのように活かしていくかの参考になるでしょう。
以下の項目では、マーケティングリサーチに関する事例を3つご紹介しますので、ぜひご自身の調査に役立ててください。
明治製菓「meiji THE Chocolate」
発売から半年強で3,000万個を売り上げた大ヒットチョコレート「THE Chocolate」は、マーケティングリサーチを活かして開発された商品のひとつです。従来とはまったく異なるコンセプトの商品を開発するにあたり、上層部の反対を覆すために用いられたのが、マーケティングリサーチでした。
まず行ったのは、消費者ニーズのリサーチです。これまで、カカオの風味を味わう商品であれば、カカオ含有量の多い「ダークチョコレート」を開発すべきとされていました。
しかし、消費者ニーズを調査したところ、日本人の6割はミルクチョコレートを好むことがわ分かります。調査の結果から、明治製菓は砂糖を抑えてミルクとカカオで作り上げた「ダークミルクチョコレート」の開発をすることにしました。
味だけでなく、パッケージデザインも従来のものとは異なる縦型でおしゃれなものを採用しています。上層部からの反対もあったものの、マーケティングリサーチの結果を基に、消費者からは受け入れてもらえるとプレゼンし、大ヒットとなる「THE Chocolate」が誕生しました。
参照元:明治製菓「日本に新しいチョコレート文化を。『異例』ずくめの商品開発に挑む」
アサヒビール「ドライゼロ」
アサヒビールが2012年2月に発売したノンアルコールビール「ドライゼロ」は、通常のビールと同じようなキレや味わいが評価され、ノンアルコールビールの売上1位*を獲得するほどの人気商品となっています。
しかし、アサヒビールが過去に販売していたノンアルコールビール「ダブルゼロ」は、ノンアルコールビール市場シェア2〜3%ほどで苦戦を強いられていました。
アサヒビールがよりよいノンアルコールビールを開発するために活用したのが、マーケティングリサーチです。まず、5,000人以上の顧客を対象として「ノンアルコールビールに求めるもの」を調査し「ゼロカロリーのような機能性でなく、味が重要」という点に気付きました。さらに、試作品の評価や、パッケージデザインの評価、ノンアルコールビールを飲んでいる人の属性などを詳しく調査し、ドライゼロの開発に活用しています。
*インテージSRI+ノンアルコール飲料市場、ノンアルコールビールテイスト飲料市場 2022年1月〜2022年12月累計販売金額7業態計
参照元:日経クロステック「『ドライゼロ』ヒット支えた社内コンペ」
セブン&アイホールディングス「金の食パン」
セブン&アイホールディングスが販売する「金の食パン」は、発売当初は品薄になるほどの人気を博した食パンです。金の食パンを開発するにあたっても、マーケット調査から商品の品質、顧客の反応に至るまで、徹底したマーケティングリサーチが行われています。
同社はまず、市場規模とマーケットシェアに関する調査を行います。調査の結果、市場規模に対して同社の食パンはあまり売上が伸びておらず、プレミアムラインの食パンは勝算があるのではと考えました。そして、試作品の試食やテスト販売を通して味や販売価格などを決定し、販売に踏み切ったことで素晴らしい販売成績を記録したのです。
参照元:PRESIDENT Online「PB商品『金の食パン』が高くても売れる理由」
まとめ
今回はマーケティングリサーチの基本情報をはじめ、マーケットリサーチとの違いやメリットなどについて詳しくご紹介してきました。
この記事を参考にして、市場価値を活かし、企業の売上アップ・生産性の向上・集客アップに繋がる戦略を立てていきましょう。