お気軽にお問い合わせください
医療マーケティングとは?患者さまのニーズと自院の現状を踏まえたマーケティング戦略
2023年05月12日更新日:2024年04月19日
近年、医療マーケティングの重要性が高まっています。少子高齢化によって保険診療が増加したことなどが原因で、医療現場の収益が下がってきているためです。医療マーケティングを行っていないと、既存患者が離れる、売上が維持しにくいなど悪影響があるかもしれません。
今回は、医療マーケティングとは何か、具体的に何をすればよいのかを詳しく解説します。集患にお困りの方は、ぜひ最後までご覧ください。
医療マーケティングとは
医療マーケティングとは、より多くの患者さまが集まるような仕組みを作ることです。自院の現状を把握し、よりよいサービスを提供できるよう工夫して、自然とたくさんの患者さまが来院するような病院づくりをすることを、医療マーケティングとよびます。
マーケティングは、商品やサービスが売れる仕組みづくりを意味するビジネス用語です。競合商品の分析や、顧客ニーズの把握、商品を効果的に訴求するための施策考案などを総合して、マーケティングとよびます。
医療マーケティングは、積極的に営業をかけなくても、患者さまが自ら自院を選んでくれるようにする対策ともいえるでしょう。
医療マーケティングの重要性
医療マーケティングが重要視されるようになった背景として、医療技術の進歩による専門性の高まりと、患者行動の変化があります。
以下、医療マーケティングが重要視されるようになった背景を、2つのポイントに分けて解説します。
1.医療分野の専門性の高まり
医療技術が進歩して専門性が高まるとともに、医療分野の細分化が進みました。インビザライン矯正に特化した歯科医院やニキビ跡治療を専門とする美容皮膚科のように、病院自体の専門性も高まっています。
医療マーケティングをしっかりと行わないと、自院の専門性が評価されにくく、ほかの病院に埋もれてしまう可能性が高いのです。
2.患者行動の変化
専門性の高まりによって、患者さまは自分の悩みに合った病院を選べるようになりました。
一方で、専門的な病院が多すぎて、自分がどの病院へ行けばよいのかわかりにくくなった部分もあります。結果として、患者さまはインターネットで病院の特徴や口コミなどを調べ、特に評判がよく信頼できる病院へと通うようになりました。
医療マーケティングを行わないと、既存患者が「もっとよい病院がある」と感じて、離れてしまう可能性が高まります。特に、競合の多い病院や地域に病院が複数ある場合は、医療マーケティングによる知名度の向上や信頼の獲得が必須です。
【分析】患者さまのニーズや満足度を把握しよう
医療マーケティングを行う際は、患者さまのニーズや満足度を把握することが大切です。既存患者の考えていることと、これから来院する可能性のある人のニーズを把握できれば、よりよいサービスを提供できるでしょう。患者さまの離脱を防ぐとともに、リピート率の向上や口コミによる新規患者の獲得も期待できます。
患者さまのニーズや満足度を把握する方法は、以下のとおりです。
- 患者さまへのアンケート
- 電子カルテの活用
- ホームページのアクセス解析
このような対策を行えば、自院の現状を正しく理解することができ、よりよいサービスを提供できます。以下、患者さまのニーズや満足度を把握するための対策について詳しく解説しますので、参考にしてください。
患者さまへのアンケート
まずは、患者さまへのアンケートを行いましょう。現状のサービスにどのような不満があるのか、自院の強みはどこなのかを把握すれば、サービス改善に役立ちます。
アンケートを作成する際に入れるべき項目は、以下のとおりです。
- 基本情報(氏名、年齢、性別など)
- 自院を知った媒体(インターネット、SNS、Googleのレビューなど)
- 自院のおすすめ度(家族や知人に勧められるかなど)
- 設備の状態(待合室の広さ、トイレのきれいさ、全体的な清潔感など)
- スタッフの対応(言葉づかい、親切度、身だしなみなど)
- 受付や待ち時間(案内のわかりやすさなど)
- 予約(予約のしやすさ、希望の予約方法など)
- ホームページ(見たことがあるか、見やすさ、掲載してほしい情報など)
上記の項目以外にも、病院ごとにさまざまな項目を考えましょう。Googleのレビューや口コミなどで気になる内容があれば、アンケート項目に加えてもよいでしょう。
ただし、あまりにアンケートの設問が多いと、患者さまは疲れてしまいます。多くても20問前後にしてください。
電子カルテの活用
電子カルテを活用すると、既存患者の通院情報を簡単にまとめられます。診察回数や診察金額、曜日ごとの患者数など、さまざまな情報を分析することが可能です。数字ベースで現状を把握できれば、現在の強みと弱みを簡単に把握できるでしょう。
代表的な電子カルテは、以下のとおりです。
- CLIUS
- CLINICSカルテ
- M3 DigiKar
- CLINIC BOARD
- Medicom-HRf
電子カルテを導入する場合は、業務負担が大幅に増えるとともに、ある程度の費用も発生します。これまで紙のカルテを使用していた病院では、慣れるまでに多くの時間を要するでしょう。
導入する際は、院内でしっかりと協議したうえで、適切な予算内で扱えるものを選んでください。
ホームページのアクセス解析
ホームページのアクセス解析をすると、自院が求められているものや患者さまのニーズを把握できます。アクセス解析とは、ホームページの閲覧数や滞在時間、検索キーワードなどを調べる作業です。
ホームページのアクセス解析で分かる情報は、以下のとおりです。
- ページごとの閲覧数、よく見られているページ
- 自院ホームページに来た検索キーワード
- ページごとの平均滞在時間
- ホームページから離脱したページ
- ユーザーの居住地域
- ユーザーが使用している端末(スマホ、PC)
アクセス解析に用いるツールによって、得られる情報は異なります。無料で使える有名なツールに「Googleアナリティクス」がありますが、このツールで検索キーワードを調べることはできません。検索キーワードを調べるためには、Googleサーチコンソールなどの別ツールと連携させる、Google広告の管理ツールを用いるなどを行う必要があります。
また、解析した情報を適切に活用するためには、ある程度の専門知識が必要です。アクセス解析に関する知識がない場合は、外注することも視野に入れるとよいでしょう。
【分析】自院の現状を知ろう
医療マーケティングを行うためには、自院の現状を正しく把握することも大切です。自院を取り巻く状況を把握し、自院の立ち位置や患者さまのことを正しく理解していないと、よいマーケティングはできません。
以下、STP分析を用いた現状把握の方法をご紹介します。
STP分析とは?
STP分析とは、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の3段階で行う分析方法です。市場をニーズごとに区切ってターゲットを設定し、自院の立ち位置を明確化することで、現状分析を行います。
セグメンテーション(Segmentation)
セグメンテーションとは、患者さまをニーズごとに分類して、市場を細分化する作業です。セグメントには「区切り」という意味があります。市場をニーズが似ている人ごとに区切ることを、セグメンテーションとよびます。
セグメンテーションを行うための指標として代表的なものは、以下の4つです。
- デモグラフィック(人口統計的変数)
- ジオグラフィック(地理的変数)
- サイコグラフィック(心理的変数)
- ビヘイビアル(行動変数)
顧客の年齢や性別、趣味趣向、ライフスタイル、仕事など、さまざまな要素で区切ることが可能です。市場を細分化することで、より的確にターゲティングできます。
ターゲティング(Targeting)
ターゲティングは、セグメンテーションで分類したもののうち、自院がターゲットとする患者さまはどこにあたるかを考えることです。
ターゲティングは大きく3つに分けられます。
- 無差別型:市場全体に訴求する
- 差別型:いくつかのターゲットに対して、それぞれ最適化したものを提供する
- 集中型:特定のターゲットに絞って訴求する
ターゲティング(またはマーケティング)の手法はさまざまです。自院が対応している診察科や部門なども考慮しながらターゲティングしましょう。
ポジショニング(Positioning)
ポジショニングは、設定した市場に対して、自院の立ち位置を把握することです。競合と比較して、自院がどのような立ち位置にいるかを把握していきます。ポジショニングにおいても、タテヨコで指標を設定し比較するのが一般的です。
用いる指標には「価格」や「規模」などがあります。価格に関しては、タテかヨコのどちらかに設定するケースが多いでしょう。自院の状況を踏まえて、適切な指標を用いながらポジショニングを行ってください。
医療マーケティングの方法
医療マーケティングの方法には、さまざまなものがあります。以下、インターネット上で行えるマーケティング手法を3つご紹介します。
SEO対策をする
SEO対策とは、ホームページの内容を改善してGoogleやYahoo! JAPANの検索結果において上位表示されるようにする対策のことです。検索上位にホームページが表示されるようになれば、問い合わせの増加が期待できるでしょう。
SEO対策の具体的な流れは、以下のとおりです。
- 自院が伸ばしたい分野を決める
- 伸ばしたい分野でよく検索されているキーワードを調べる
- キーワードのうち、コンテンツ制作に用いるキーワードを1つ選ぶ
- 選定したキーワードで実際に検索して、上位記事を調べる
- 上位記事や対策キーワードの関連語句などを用いて見出し案を作る
- 見出し案に沿ってコンテンツを作成する
SEOの基本は、特定のキーワードで検索をしたときに上位表示させることです。上記の流れでコンテンツを作成すると、対策キーワードで検索をした際に、上位表示されるようなコンテンツを作成できます。
既存のコンテンツを改善する方法は、以下のとおりです。
- 既存のコンテンツの閲覧数・検索順位・クリック率を調べる
- 閲覧数が少ないもの、検索順位は高いがクリック率が低いものを選出する
- 選出したコンテンツの内容やタイトル、メタディスクリプションを修正・加筆する
SEO対策は非常に奥が深く、専門的な知識も必要です。本サイトのほかのページも参考にしながら対策を行ってください。もし、自院で対策することが難しい場合は、外注してもよいでしょう。
MEO対策をする
MEO対策とは、GoogleマップやYahoo!マップでの検索順位において、自院が上位表示されるようにする対策です。特に、Googleマップでの掲載情報を編集する「Googleビジネスプロフィール」を用いた対策が一般的です。
昨今では、マップを利用して病院の場所や口コミを確認し、病院を決める方も多くなってきました。MEO対策を行えば、マップを使って病院選びをする人にしっかりと自院をアピールできます。
SNSを活用する
昨今は、SNSを用いた医療マーケティングも盛んです。特に、YouTubeを用いて情報を発信したり、TwitterやInstagramを使って最新情報を提供したりする病院が多い傾向にあります。動画は難しいと感じる方は、まずTwitterやInstagramなどを使って情報発信をしてみましょう。
SNSマーケティングのメリットは、患者さまとの信頼関係を深められる点です。ふだんはなかなか伝えられない病院の魅力や最新情報を発信できるので、患者さまに医院を身近に感じてもらえます。また、医師やスタッフの人柄が伝わり、より病院を好きになってもらえるかもしれません。
ただし、SNSマーケティングは「炎上リスクが高い」というデメリットがあります。今後、SNSで情報発信をしたいと考えている方は、医療広告ガイドラインやSNS炎上の事例などを調べて、リスクを極限まで減らしたうえで行ってください。
まとめ
医療マーケティングは、既存患者の満足度を高めるとともに、新規患者を増やすために欠かせません。専門性の向上や、患者ニーズの多様化によって、病院に求められる要素も増えています。
医療マーケティングを適切に行って、ニーズの把握と集患をし、安定した経営を行いましょう。