SNSマーケティングにおいてペルソナ設定が重要な理由と設定方法を解説

宙に浮かぶ人のカルテを触る男性

SNSマーケティングを導入する場合、自社でどのような情報をどのようなユーザーに発信するかを決めることが非常に重要です。アカウント設計は、SNSマーケティングの成功を左右する重要な要素なのです。

アカウント設計を行うときに軸になるのが、ペルソナ設定でしょう。自社の見込み客に合ったペルソナを設定することで、SNSマーケティングの方向性が明確になります。売上アップやブランディングに効果を発揮するでしょう。

しかし、いざペルソナ設定をする場合「ペルソナとターゲットの違いがよくわからない」「ペルソナはどうやって設定するの?」「そもそもペルソナって何?」などの疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。

今回は、SNSマーケティングにおいてペルソナ設定が重要な理由や、設定方法を詳しく解説します。今後SNSマーケティングを導入したい方や、SNSマーケティングで成果が出ていない方は、ぜひ最後までご覧ください。

ペルソナとは?

グレーの机に置かれた人が書かれた木のブロック

ペルソナはユングが提唱した心理学用語で「Persona(仮面)」から派生して、人間の「外的側面」「内側に潜む自分」と定義されています。

マーケティングで使う場合は「商品やサービスを利用している具体的なユーザー像」を意味します。ターゲットとの違いは、商品やサービスを利用するユーザー像を、どれだけ詳細に設定するかです。

例えば、ターゲットは「30代・男性・会社員」と設定するのに対し、ペルソナは「年齢・性別・属性・居住地・役職・年収・趣味・家族構成」など、1人の実在する人物像がイメージできるように詳細に設定します。

SNSマーケティングにおいてペルソナ設定が重要な理由

顎に手を当てて考える男性

SNSマーケティングを実行する場合に、なぜペルソナ設定が重要なのでしょうか。SNSマーケティングにおいてペルソナ設定が重要な理由は、以下の3つです。

  • ユーザーニーズに合った商品やサービスを作れる
  • プロジェクトチームで方向性を共有できる
  • ユーザーに効果的なプロモーションができる

それぞれ詳しく解説します。

ユーザーニーズに合った商品やサービスを作れる

情報社会の現代では、消費者のニーズが多様化しています。昔のように大衆を対象にした商品やサービスを作っても、消費者が本当に求めているものはできなくなっているのです。

ターゲット設定よりも詳細なペルソナ設定を行うことで、1人の人物像がより明確になります。自社のユーザーに合った商品やサービスを作ることにつながるでしょう。

例えば、お菓子メーカーの場合、ターゲットとして「東京在住・20代女性・OL」とターゲットを設定するのではなく「東京在住・20代女性・OL・お菓子好き・健康志向・最近体型を気にしている」とペルソナを設定すればユーザーの求めているものがわかります。

例の場合、オーガニック食材を使用したカロリーを抑えたお菓子を作ることで、ユーザーニーズを満たせることがわかるでしょう。

プロジェクトチームで方向性を共有できる

SNSマーケティングを実行するうえで、プロジェクトチーム内で認識のずれが生じるとプロジェクトがうまく進まないことがあります。

しかし、ペルソナ設定をすることで、対象となるユーザーの人物像が明確になりチームの方向性を共有できます。プロジェクトを実行するなかでペルソナを意識することで、チームで方向性を共有しながらスムーズに仕事を進められるでしょう。

ユーザーに効果的なプロモーションができる

ペルソナを設定することで、ユーザーに効果的なプロモーションができます。自社に合った見込み客のライフスタイルや、ふだんどのようなSNSを利用するのかをイメージすることで、最適な情報の配信時間などがわかるでしょう。

例えば、美容関連のビジネスをしている場合、ペルソナを「正社員・30代女性・2人の小学生を育てている・Instagramで美容情報を収集する」と設定するとどうでしょうか。

プロモーションの媒体はInstagramを活用する、情報を配信する時間は仕事後の家事が終わって少しゆっくりできる21時など、最適な方法・タイミングがわかります。マーケティング戦略が明確になり、ユーザーに効果的なプロモーションを実行できるのです。

SNSマーケティングにおけるペルソナ設定例

スマートフォンでいろんな人の顔を確認する女性

上述しましたが、ペルソナとは「商品やサービスを利用している具体的なユーザー像」です。ペルソナは「20代女性」のように大まかな設定ではなく、1人の人物像がイメージできるように詳細に設定しましょう。

以下、ペルソナ設定の項目と具体例をご紹介します。

<ペルソナ設定の項目と具体例>

項目 具体例
名前 鈴木花子
年齢 28歳
性別 女性
学歴 4年制大学の文学部卒業
職業 IT関連の会社、事務職6年
家族構成 2人姉妹の長女
居住地 都内(杉並区)で1人暮らし
収入 年収350万円
趣味 映画鑑賞やショッピング
登山などのアウトドアにも興味あり
好きな雑誌 VERY、CLASSY
利用しているSNS Instagram、LINE(毎日2~3時間程度)
情報収集 スマートフォン(主に美容やファッション)

上記のように、詳細な項目に落とし込むことで、自社に合ったペルソナを実在の人物としてイメージしやすくなります。項目は自社に合わせてカスタマイズしましょう。

SNSマーケティングにおけるペルソナ設定方法

黒い机に置かれた?の白いブロック

SNSマーケティングにおけるペルソナ設定方法には、手順があります。手順に沿って行うことで、正しく自社に合ったペルソナを設定できるでしょう。

ペルソナ設定の手順は、以下のとおりです。

  • ターゲットを明確にする
  • 情報を収集する
  • ペルソナの項目を設定する
  • ペルソナを作成する
  • マーケティングを運用し改善する

それぞれ解説します。

ターゲットを明確にする

まずは、自社に適したターゲットを明確にしましょう。例えば、学習塾を経営している場合「中学3年生のこどもがいて、受験対策を考えている家庭」のように、自社の見込み客にあてはまるターゲットを明確にします。

ターゲットが明確になることで、マーケティングの方向性がわかります。

情報を収集する

次に、ターゲットの悩みや欲しい商品、サービスに関する情報を収集しましょう。情報収集の方法としては、自社のデータやアクセスデータ、SNSのデータ、アンケート、ワークショップなどが挙げられます。

学習塾のケースを例にすると、情報収集の結果、自社のターゲットが「上位私立進学高校の受験対策に強い少人数制の学習塾を探している」ことがわかるかもしれません。

ペルソナ設定に失敗するケースとしては、マーケティング担当者が勘やイメージで「学費が安い公立高校の受験対策のために塾を探している」と思い込むことです。しっかり情報収集をして、見込み客の悩みや欲しい商品、サービスを把握しましょう。

ペルソナの項目を設定する

ターゲットの情報収集が完了したら、ペルソナ設定で重要な項目を設定しましょう。項目設定は、実在する人物像がイメージできるように詳細に行います。

ペルソナ項目の具体例は、以下のとおりです。

  • 年齢
  • 性別
  • 家族構成
  • 年収
  • 居住地
  • 職歴
  • 最終学歴
  • 趣味やライフスタイル
  • 抱えている悩み
  • 性格や価値観
  • インターネットの利用頻度
  • 利用しているSNS
  • 利用しているデバイス(PC・スマートフォンなど)
  • 月に使える余裕資金
  • 自社商品やサービスへの関心度

基本的な項目を記載したので、自社に合わせてカスタマイズしましょう。インターネットやSNSに関連する項目を設定することで、SNSでのマーケティング活動がしやすくなります。

ペルソナを作成する

項目設定が完了したら、集めた情報をもとに実際に「商品やサービスを利用している具体的なユーザー像」に落とし込み、ペルソナを作成しましょう。ペルソナのイメージに近い顔写真を用意する、購入までのエピソードを入れたストーリーを設計するなど、しっかりと作り込むと最適なマーケティング戦略を立てやすくなります。

マーケティングを運用し改善する

ペルソナの作成が完了したら、マーケティング戦略をもとに運用しましょう。ペルソナを作成して一定期間が経ったら、検証と改善を行うことが重要です。

最初にペルソナに合わせた最適な戦略を作ったとしても、成果がでない場合があります。消費者のニーズも常に変化するでしょう。

ペルソナが自社を認知し、購入にいたるまでのプロセスごとに定期的に見直しと改善を行ってください。

SNSマーケティングにおけるペルソナ設定のコツ

机に置かれた黒い本と電球

前項で、SNSマーケティングにおけるペルソナの設定方法について解説しました。この項では、SNSマーケティングを効果的に行うペルソナ設定のコツを解説します。

ペルソナ設定のコツは、以下の4つです。

  • ペルソナは1人に設定する
  • SNSに関連する項目を追加する
  • 具体的でイメージしやすいペルソナを設定する
  • 定期的にペルソナを見直す

それぞれ詳しく解説します。

ペルソナは1人に設定する

大勢の人を対象にしたほうがマーケティングの効果が出ると思うかもしれませんが、ペルソナを複数設定すると対象がぼやけます。SNSマーケティングの施策にブレが生じるリスクがあるので、ペルソナは1人に絞ることが重要です。

商品やサービスのプラン・メニューが複数ある場合は、プランやメニューごとにペルソナを設定するとよいでしょう。

SNSに関連する項目を追加する

ユーザーの生活の一部として、SNSは使用され続けています。今後も利用者は増加すると考えられるでしょう。

ペルソナ設定でSNSに関連する項目を追加することで、SNSマーケティングを導入するときに最適な判断がしやすくなります。各SNSの特性を考慮して、ペルソナと照らし合わせながら最適な施策を行うことで、効果的な運用ができます。

具体的でイメージしやすいペルソナを設定する

ペルソナ設定において大切なのは、実在する1人の人物としてリアルにイメージを作ることです。家族や友人にペルソナ像に近い人がいる場合は、その人をイメージしながらマーケティング戦略を考えるとよいでしょう。

具体的でわかりやすいペルソナを設定できるので、効果的な施策を行うことができます。

定期的にペルソナを見直す

ペルソナを設定して終了、ではなく運用しながら定期的に見直しましょう。マーケットの流行やユーザーの環境の変化は非常に早いです。自社に合った最適なペルソナも、変化する場合があります。

SNSマーケティングの運用結果を検証しながら設定したペルソナを見直し、PDCAを回しながら改善しましょう。

SNSマーケティングにおいてペルソナ設定する際の注意点

パソコンから飛び出す注意マーク

自社に合ったペルソナを正しく設定すると、特定のユーザーに刺さるSNSマーケティングを行えます。商品やサービスの売上アップ・ブランディングに効果を発揮するでしょう。

しかし、ペルソナ設定の方向性を間違えると、誰にも刺さらない施策になるリスクがあります。

SNSマーケティングにおいてペルソナを設定する際の注意点は、以下の2つです。

  • データを活用して客観的にペルソナを設定する
  • チーム全員がイメージしやすいペルソナにする

それぞれ解説します。

データを活用して客観的にペルソナを設定する

ペルソナを設定する場合は、集めたデータを活用して客観的に設定しましょう。「自社の商品やサービスに合うユーザーはこのような人物だろう」と主観に頼ってペルソナを設定すると、本来のユーザー像と乖離することがあります。

適切なペルソナを設定できるように、事前に情報収集した「自社データ・SNSのデータ・アンケート」などを活用して、客観的にペルソナを設定しましょう。

チーム全員がイメージしやすいペルソナにする

SNSマーケティングを成功させるためには、チーム全員のイメージが共通していることが重要です。ペルソナは1人に設定することが大切ですが、設定項目が多ければよいわけではありません。

設定項目が多くなるとペルソナ像が複雑化し、チーム全員のイメージがずれることがあります。

項目を設定する際に、チーム内でコミュニケーションを取って項目の追加・削除を行いましょう。具体性を保ちつつ、無駄のない設定項目に仕上げることが重要です。

まとめ

手に持ったスマートフォンからいろいろな情報が出てくる

今回は、SNSマーケティングにおけるペルソナ設定の重要性や具体的な設定の方法・注意点について詳しく解説しました。

スマートフォンが普及したことで、現代では消費者が購買行動においてSNSを当たり前のように利用しています。企業が売上アップやブランディングを行ううえで、SNSマーケティングをいかに成功させるかが重要になっているのです。

正しくペルソナ設定することでアカウントの方向性が決まり、自社の見込み客に刺さるマーケティングが実行できるでしょう。正しくペルソナを設定すれば、売上アップやブランディングに効果を発揮するので、ぜひ本記事を参考に自社のペルソナ設定を行ってください。

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