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2020年02月25日更新日:2024年04月19日

動画

厚生労働省が5月に発表した令和元年4月の有効求人倍率が1.63倍に達し、これはバブル期の最高値(1.46倍)を超えました。さらに新卒採用の領域では、少子化等に伴い、有名な上場企業を除き、新卒を確保することがますます難しくなっています。

通常、歯科医院では治療は歯科医師が。メンテナンスであるクリーニングなどは歯科衛生士が行います。クリーニングなどの施術も歯科経営にとっては大きな収入源で歯科衛生士が不足すると医業収入低下に及びます。

歯科衛生士は歯科経営にとって大切な存在ですが、地域によっては採用が難しく頭を抱える歯科経営者は少なくありません。日本歯科衛生士会のホームページによると2018年度の求人倍率は21倍という桁外れの水準。1人の歯科衛生士を21医院が取り合う構図になっています。

このような状況下で通常の求人活動を行っていても採用できるはずもありません。他の歯科との競争に打ち勝たなければ採用は遠のくばかりです。この記事では実績に基づいたマーケティング発想の採用、いわゆる「採用マーケティング」に動画を組み合わせた最新の採用方法についてご紹介していきます。

マーケティングファネルを応用した採用戦略

マーケティングの世界でお馴染みの”ファネル”とは、広く集客したうえで、ふるいにかけられた見込み顧客が、検討・商談、そして成約へ流れる中で段々と少数になっていくことを言います。その様を図にすると、徐々に対象が絞り込まれていく様子を漏斗(ろうと)の形で表現したものです。この考え方を採用フローに応用し、各フェーズにおける主な施策を整理したのが下の図です。

このように整理すると、それぞれの採用施設の役割が明確となり、各種コンテンツで訴求すべきメッセージや伝えるべき情報を設計しやすくなります。
ウミガメ株式会社 歯科業界 ファネル

また、内定者の確保が課題となっている歯科医院の場合、母集団の形成が重要となりますが、上図にも記しているように、母集団、すなわちファネルの幅を広げるための施策として昨今注目を集めているのが「動画広告」の活用です。

続いてはこの新しい動画広告について詳しく解説していきます。

採用目的の動画広告の価値とは

従来の採用活動では、グッピーやIndeedや就職イベント、人材紹介会社を通じて学生や求職者に医院を知ってもらい、医院のサイト等で興味をもってもらうという流れが一般的でした。しかし、上述したように採用市場の競争が激しくなっている昨今、有名な歯科医院でもない限り、応募を待っているだけの受け身の姿勢では十分な母集団(ファネル)を形成することさえ難しくなっているのが現実です。

そこで、自院の存在を知ってもらう機会を増やすために取り組みたいのが、学生や求職者に対して配信する動画広告です。

採用目的の動画広告のメリットとしては主に以下の4つが挙げられます。

1.新しい認知を獲得でき、母集団形成につながる

母集団形成の最初の一歩は、認知の獲得です。有名な歯科医院が多く名を連ねるナビサイト等では埋もれがちになってしまう歯科医院でも、求職者に向けて積極的に動画広告を配信することで、認知を獲得しやすくなります。

動画広告を通して認知・興味を持ってもらい、そのまま医院サイトにアクセスしてもらえればベストですが、まずは認知を獲得しておくだけでも、後日ダイレクトリクルーティング等でスカウトした際のレスポンス(返信)率の向上が期待できるでしょう。

2.転職潜在層にアプローチできる

動画広告を活用することで、すでに転職を検討している顕在層だけではなく、潜在層にまで自院の存在を知ってもらえるというメリットもあります。

顕在層は能動的にナビサイトや採用サイト等をチェックして情報収集を進めるため、求人票を公開しておけば一定の認知を獲得できますが、潜在層との接点創出は期待できません。しかし動画広告を活用して潜在層にもアプローチしておけば、潜在層がいざ顕在層に変化した時点ですでに認知を獲得しているため、他社より一歩アドバンテージをとっていることになります。

新卒採用においても、就職活動が本格化する前に学生向けに動画広告を配信しておくことで記憶に残り、検討対象企業として挙がる可能性が高まるでしょう。

3.20~30代にアプローチしやすい

総務省の平成28年情報通信白書によると、20代におけるYouTube等の動画共有サービスの利用率は約9割に達しており、30代でも80%を超えています。またSNS上に流通する動画も年々増加しており、動画広告市場も順調に拡大しています。すなわち、20〜30代にとって動画はますます身近な存在になっており、この世代の求職者へのアプローチとして動画という形のコミュニケーションが有効であると考えることができます。

参考:ネット動画視聴の広がり|総務省 情報通信白書 平成28年版

4.医院ブランディングに適している

これは採用目的に限ったことではありませんが、動画広告には見る人の心を動かしたり、ストーリー訴求力が高いという特徴があるため、企業の認知を獲得したりイメージを向上させる上で非常に有効です。

医院のビジョンや働きがい、求める人物像などを動画という形でしっかり表現することで、それらに共感する顕在層/潜在層の関心を引くことが可能になります。

各フェーズにおける採用動画コンテンツ

それでは次に、認知・興味〜理解〜動機形成の各フェーズにおいて有効な採用動画コンテンツ/広告を解説していきます。

採用サイト向け動画(目的:理解促進)

医院サイトや採用サイトへの動画掲載は、ここ数年でだいぶ浸透してきましたが、その動画の内容は、下に挙げる動画のように、スタッフのインタビューや職場の様子など、求職者が医院のことをリアルかつ具体的に理解できることを目的としたものが主流になっています。

知名度の低い医院であっても、医院の魅力や仕事のやりがい等を動画をとおしてしっかりと訴求すれば、応募意向を高めることができます。

仕事紹介・スタッフインタビュー動画(ハートリーフ歯科クリニック東大島)

仕事紹介・スタッフインタビュー動画(中山歯科クリニック)

採用動画広告(目的:認知・興味)

最後は動画広告についてです。

広告として配信する場合は、サイト等に掲載する動画よりもコンセプトを際立たせ、メッセージを絞り込むことが大切です。様々なメッセージやコンテンツを詰め込むと、何を伝えたいのかわかりづらくなり、せっかく広告配信しても求職者の関心を引くことは難しくなります。

メッセージコンセプトが決まれば、実際のスタッフを起用してリアリティや信頼感を高めたり、フィクションのドラマで世界観を作り上げたり、短編アニメーションにしたりと、アイデア次第で表現の幅は無限大です。

なお、動画広告として配信する場合、数分に及ぶ長尺動画では離脱率が高くなってしまう可能性があります。動画広告用にダイジェスト版やティザー(予告)編として編集し、本編はサイトに掲載する等の工夫も検討したいポイントです。

私が以前動画制作を手がけた、とある医院様の新卒採用向け動画広告では、採用サイトへの流入率が前年比200%増という成果を残しました。従来の採用活動だけではなかなか達成できない伸び率です。採用への動画広告の活用は比較的新しい手法であり、真似できる企業はまだいないため、今なら高い効果を期待できます。

今後ますます採用市場が難しくなると見込まれている今、マーケティング視点を取り入れて、より戦略的に採用活動を進めてみてはいかがでしょうか。

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