お気軽にお問い合わせください
4C分析とは?他のフレームワークとの違いや活用方法について解説!
2022年07月22日更新日:2024年04月19日
事業を成功させるには徹底した「分析」が必須です。分析にはさまざまな手法がありますが、そのなかでも「4C分析」は非常に効果の高い分析手法として有名です。
この記事では「4C分析とは?」から始まり「他のフレームワークとの違い」や「活用方法」について詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
4C分析とは?
4C分析とは、顧客の目線から自社の商品・サービスを分析し、マーケティング戦略の立案に使われる手法のことです。新商品の開発や既存商品の見直しの際に、自社の商品を客観的に判断するために使われます。
4Cの概要
4Cは、アメリカの経済学者であるロバート・ラウターボーン氏が1993年に提唱したマーケティング理論で、顧客が商品を選び、購入に至るまでの4つの要素の頭文字を取って4Cとされています。
それぞれ詳しく解説していきます。
顧客価値(Customer Value)
顧客価値とは、顧客が考える商品やサービスに対する価値のことをいいます。
商品そのものの品質だけでなく、デザインやブランドなどあらゆる観点から顧客にとって価値のある商品になっているかを分析していきます。
顧客のコスト(Cost)
顧客のコストとは、その名のとおり商品やサービスの価格のことです。
価格設定は、企業側のコスト都合で設定せず、顧客が感じる価値に対して妥当性のある価格に設定しましょう。顧客の立場のコストは単に金銭の負担だけではありません。商品やサービスを利用するための移動時間などもコストに含まれます。顧客が負担するものすべてをコストととらえ、総合的に判断する必要があります。
顧客にとっての利便性(Convenience)
顧客にとっての利便性とは、商品やサービスを利用するうえでの決済方法やWebページの使いやすさを示す指標のことです。
いくら商品やサービスが魅力的であっても購入までにストレスがかかる場合は、購入を見送る方も多いでしょう。そのため、顧客がストレスなく利用できるよう、顧客目線で利便性を追及していくことが大切です。
顧客とのコミュニケーション(Communication)
顧客とのコミュニケーションを図るには、オンラインであれば「ホームページ」「SNS」、オフラインであれば「各種イベント」「実店舗」などで、顧客と接点となる場所を作ることが大切です。
顧客と接点となる場所を増やし、良好な関係性を築くことが成約に繋がります。
4P分析や他のフレームワークとの違い
4C分析以外にもマーケティング戦略に活用されるフレームワークは複数存在します。そのなかでも、主にマーケティングの分析で活用されるフレームワークは、以下の3つです。
- 4P分析
- 3C分析
- SWOT分析
それぞれ詳しく解説していきます。
4P分析
4P分析とは、商品・サービスの要素である以下の4つの頭文字を取ったマーケティング手法のことです。
- Product「商品」
- Price「価格」
- Place「流通」
- Promotion「販売促進」
4P分析は商品やサービスを販売するうえで「何を」「いくらで」「どこで」「どのようにして」売るかというマーケティング戦略を立案するためのフレームワークです。
4C分析が顧客視点のフレームワークなのに対し、4P分析は企業視点のフレームワークとなります。4C分析と4P分析は対になる関係性のため、両方を合わせた「マーケティングミックス」という手法が活用されることも多いです。
3C分析
3C分析もマーケティング戦略を立案する際によく使われるフレームワークで、以下の3つの頭文字を取ったものです。
- Customer(市場・顧客)
- Company(自社)
- Competitor(競合)
マーケティング戦略を立案する際は、自社でコントロールできない「外部要因」と自社の「内部要因」の両面から考えていく必要があります。3C分析では外部要因の「市場・顧客」「競合」と内部要因の「自社」を分析対象としているため、顧客のニーズ・自社の強み・弱み・競合の動向が把握でき、最適なマーケティング戦略を立案できます。
4C分析と名称が似ていますが、分析する対象が異なるため、全く別のフレームワークとなります。3C分析を行ったうえで4P分析や4C分析を行えば、現代の市場・技術の急速な変化にも柔軟に対応できるでしょう。
SWOT分析
SWOT分析とは、外部環境と内部環境を以下の4つの要素に分けて分析するフレームワークです。
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
SWOTは、上記4要素の頭文字から付けられています。
4C分析が顧客目線でのマーケティング戦略を立案する手法に対し、SWOTは内部環境と外部環境においての強みと弱みを分析してマーケティング戦略を立案する手法となります。SWOT分析を行ったあとに4C分析による顧客ニーズの深堀を行うと、より効果的な戦略が立案できます。
4C分析を活用できる場面
4C分析を活用できる場面としては、以下があげられます。
- 新商品・サービスの開発
- 競合他社の商品・サービスの分析
- 自社の既存商品・サービスの分析
それぞれ解説していきます。
新商品・サービスの開発
新商品や新サービスは、開発者や担当者の主観が入ってしまい顧客のニーズを満たしていないものを開発してしまいがちです。その点、顧客視点の4C分析を取り入れることで、顧客のニーズを満たした商品を開発できるようになります。
競合他社の商品・サービスの分析
自社の商品・サービスを分析し、顧客のニーズを満たしていても、競合他社の商品やサービスより劣っていれば売れづらいといえます。4C分析を活用すれば顧客目線で競合他社の商品・サービスを分析できるため、差別化を図ったマーケティング戦略が立案できます。
自社の既存商品・サービスの分析
既存商品・サービスの分析をする際にも4C分析は効果的です。商品やサービスを開発したばかりのときは顧客のニーズを満たしたものであっても、急速な市場の変化に伴い、顧客のニーズとのズレが生じてしまうことはよくあります。4C分析を行うことで、売れ行きがよくない商品・サービスを顧客目線で分析し、新たな戦略を立案できます。
4C分析の活用方法
それでは実際に4C分析をどのように活用すればいいか、具体的な方法をご紹介します。
ここでは、前項で解説した「競合他社の商品・サービスの分析」を目的とし、競合を「Uber Eats」「スターバックス」と仮定して分析していきます。
Uber Eats
Uber Eatsとは、アメリカの企業「ウーバー・テクノロジーズ」が展開するフードデリバリーサービスのことです。「食事のデリバリーサービスを利用したい人」「配達できる人」「飲食店」の3つを繋ぐ新しいデリバリーサービスとして、日本でも多くの方に利用されています。
顧客価値(Customer Value)
Uber Eatsを始めとするフードデリバリーサービスは、店舗に出向くことなく、いつでも・どこでも食事を届けてもらえる点が顧客価値となっています。コロナ感染対策として他者との接触を減らせる点も価値の一つです。
顧客のコスト(Cost)
Uber Eatsは10万以上の加盟店があるため、食べたいものを複数サイトで比較する手間が省けます。また、受け取り時間を自由に設定できるため待機時間を削減できるなど、価格面以外のコストが解消されています。
顧客にとっての利便性(Convenience)
Uber Eatsはスマホがあればアプリ一つで注文を完結させられます。また、決済方法が豊富にあるため、決済方法に困るといったこともありません。受け取り時間・場所を自由に設定できる点も利便性が良い要素の一つです。
顧客とのコミュニケーション(Communication)
Uber EatsはテレビやYouTubeなどの媒体で積極的に広告を活用しており、顧客の認知度を高めています。また、配達員の評価制度を導入しているため、顧客に対する接客・コミュニケーションにおいて十分な配慮をしている配達員が多いといえます。
スターバックス
スターバックスは、1971年にアメリカ合衆国ワシントン州シアトルで開業した世界最大のコーヒーチェーン店で、シアトル系コーヒーの元祖となる米国の企業です。日本でも多くの方に利用されています。
顧客価値(Customer Value)
家庭でも職場でもない第3の場所(サードプレイス)で気軽に本場の美味しいコーヒーを味わえる点が、特別な価値を感じられる大きな要素です。
顧客のコスト(Cost)
1杯300~500円の価格設定となっており、自販機やコンビニの缶コーヒーに比べると高く、高級ホテルラウンジや喫茶店よりは安く設定されています。
顧客にとっての利便性(Convenience)
人の往来が多い立地に出店する「Main&Main」戦略を採用しているため、顧客にとっての利便性が良く、利用したいときにすぐアクセスしやすくなっています。
顧客とのコミュニケーション(Communication)
スターバックスにはドリンクのレシピなどの品質に関するルールは厳しく定められていますが、顧客に対する一般的な接客マニュアルは設けられていません。
しかし、どの店舗を利用しても素晴らしい接客サービスが行き届いています。スタッフそれぞれが自主性・創意工夫を大切にして接客に取り組んでいるため、顧客満足度の高い接客・コミュニケーションが実現しています。
4C分析をする際の注意点
4C分析をする際の注意点は、以下の4つです。
- ターゲットを明確にする
- 自社の優位性を把握する
- 顧客視点から離れない
- 各要素の整合性
それぞれ詳しく解説していきます。
ターゲットを明確にする
4C分析をする際は「ターゲット」を明確にしたうえで行いましょう。ターゲットを決めていない、もしくは曖昧な状態では、効果的な4C分析は行えません。
例えば、カメラメーカーが顧客の求める商品開発を検討する場合、ターゲットがコストパフォーマンスを求めているのか、あるいは価格が高くても機能や質感を求めているかで、開発すべき商品の戦略が大きく変わってきます。そのため、第一にターゲットを決定してから4C分析を行いましょう。
自社の優位性を把握する
他社に比べて自社にどのような優位性があるかを把握しておくことも大切です。
今はほとんどの商品・サービスに競合が存在しています。そのため、顧客はたくさんの選択肢のなかから商品・サービスを選ぶことになるので、他社との差別化ができていないと売れづらいといえます。自社の優位性を理解し、競合他社には真似できない商品・サービスの開発・戦略を行っていきましょう。
前項で解説したSWOT分析は、市場・競合といった自社を取り巻く外部環境と自社のブランド力・価格・品質といった内部環境を「強み」と「弱み」に分けて分析するフレームワークのため、自社の優位性を明確に把握できます。4C分析の前にSWOT分析を行うと、より効果的な分析が可能になります。
顧客視点から離れない
分析を行っていると、主観的な考えや理想的な顧客像を反映してしまいがちです。
しかし、本来4C分析は顧客視点で分析するフレームワークのため、この根本からズレてしまっては効果的な分析や戦略立案ができなくなります。4C分析を顧客視点で行い続ける方法としては、前項で解説した4P分析を併せて行うと良いでしょう。4P分析は企業視点のフレームワークとなっており、4C分析と4P分析は対になる関係のため、両方を合わせた「マーケティングミックス」手法を行うのもおすすめです。
各要素の整合性
4C分析のそれぞれの要素は整合性をもたせる必要があります。
例えば、顧客の求める価値のある商品を開発し、認知拡大に成功したとしても、申し込みフォームが複雑で手続きに時間がかかったり在庫が足らず予約販売になるなど「顧客にとっての利便性」が不十分では、購入に繋がりにくいです。4つの要素に矛盾のないバランスの取れた戦略を立案することが大切です。
まとめ
この記事では、4C分析の概要や活用方法について詳しく解説してきました。
4C分析は、顧客目線から自社の商品を客観的に分析できるため、新商品の開発や既存商品の見直しに効果的な手法といえます。本記事で解説したことを参考に、徹底した分析を行い、効果的な戦略を立案していきましょう。