SNSで読まれる文章を書く方法！文章力が上がるポイントを解説

物質の豊かさより心の豊かさが重要視される現在においては、質のよい商品やサービスを売り出すことと同じくらい顧客とコミュニケーションを取り、共感を得ることが重要となっています。そうした背景から、顧客と同じ目線でつながることができるSNSを活用する企業が増えています。

しかし、現在Web上には無限に近いほどの投稿があふれています。その中で自分のSNSに目を留めてもらうためには、相手の心に「刺さる」文章を書くための文章力が必要です。文章力といっても、小説家のような洗練された文章を書く力は必要ありません。ほんの少し工夫するだけで、文章はグンとよくなります。

今回は、SNSで読まれる文章を書くためのテクニックや文章力が上がる簡単なトレーニング法について解説します。

文章力とはどういうもの？

皆さんは「文章力」と聞くと、どのようなものを思い浮かべるでしょうか。美しい文章を書くための「表現力」、相手にわかりやすく説明するための「論理力」、文章のテーマや展開を考えるための「発想力」など、さまざまな力が思いつくかもしれません。

しかし、文章力を突きつめていうと「相手の心を動かせる文章を書く能力」ということになります。

どれだけ論理立った、文法上も非の打ち所のない文章が書けても、相手に理解されず、その文章から何の学びも感情も得られないようでは文章力があるとはいえません。逆に、多少稚拙でも、人を惹きつける文章を書けるのであれば、その人は「文章力がある」といって差し支えないでしょう。

SNSで読まれる文章の特徴

SNSで読まれる文章とはどのような特徴があるのでしょうか。さまざまな条件がありますが、その中から主なものをご紹介します。

読みやすく、わかりやすい文章

正確でテンポがよく、わかりやすい表現や語句を使っている文章は、読んでいて心地いいものです。引っ掛かりがなく頭にすっと入るため、内容をよく理解することもできます。文法上の間違いがあったり表現や語句の使い方に違和感があったりすると、そこで引っかかってしまい、気持ちよく読むことはできません。

興味がある、楽しめる文章

SNSは情報収集やマーケティングにも利用されていますが「息抜き」や「娯楽」の場でもあります。興味がある・読んで楽しい文章であることもSNSで読まれる文章の大切な条件です。

役に立つ情報が書かれている文章

先ほどの話とやや重複しますが「役に立つ情報」であることもSNSで読まれる文章の重要なポイントです。

例えば、以下のような内容は好まれる傾向にあります。

• 流行・時事ネタ・イベントなど、いわゆる「旬」の話題
• 医学ネタなど専門性の高い内容
• よくある悩みの解決法
• 知っているとちょっと嬉しいライフハックネタ

短くシンプルな文章

昨今は、スマホで文章を読む人がほとんどです。長い文章だと、スマホで読んだ際に折り返しが多くなり、非常に読みにくく感じます。

小さな画面でもストレスなく読み進められるような、短くシンプルな文章だと、多くの人に読んでもらえるでしょう。

強調や絵文字の使用

文章中の大切な部分を強調したり、絵文字を使ったりして、さっと読みやすい文章にするのも大切です。

SNSの文章を最初から最後まで丁寧に読み込んでくれる人は、あまり多くありません。基本的に、重要なところをつまんで読むケースが多いでしょう。強調や絵文字といった装飾があれば、自分が伝えたい内容を簡潔に伝えられます。

トレンドや話題性のある内容

トレンドや話題性のある内容は、多くの人が検索しているものなので、必然的に読まれやすくなります。SNSによってトレンドのキーワードが異なるので、それぞれに合ったものを選定するのが大切です。

ただし、トレンドや話題性のある内容ばかり扱っていると、投稿の一貫性がなくなり、不自然に見えるケースもあるので注意が必要です。

簡単にいうと、SNSで読まれるのは「読みやすく」「楽しく」「役に立つ」文章といえるでしょう。それでは、このような文章を書くコツをこれからご紹介します。

SNSで読まれる文章を書くときのコツ

「文章力を上げる」と考えるとハードルが高く感じますが、実際のところは「相手の立場に立って考える」ことに気をつければ大丈夫です。

特に以下のような点に気をつけるだけで文章は劇的に改善されます。

ターゲットを設定する

SNSで読まれる文章を書くに当たりもっとも大切なのは「ターゲットを設定する」ということです。人ごみでざわついている中でも、自分の名前を呼ばれると気づくように、人は「自分に向かって発信されている」と感じられる言葉や文章には注意を払います。ターゲットの年齢・性別・職業・性格・趣味・年収・生活パターンなどをできるだけ具体的に書きだし、そのターゲットに向けた文章を考えましょう。

しかし「ターゲット以外に読まれないのではないか」と心配になるかもしれません。ターゲットを決めないで記事を書くのは、先ほどの例えでいうと、人ごみの中で「すみませーん！」と声を上げているのと同じです。誰の耳にも届きません。ターゲットを絞れば絞るほど文章はリアリティを増します。

また、使用する語句や口調などもターゲットに合わせたものになるため、ターゲットに対して確実に「刺さる」文章が完成します。それが多くの読み手にリーチできる文章への近道となります。

1記事1テーマに絞る

文章を書いていると「あれも書きたい、これも書きたい」と、さまざまな情報を盛り込んでしまう場合があります。

しかし、それでは本当に言いたいことを伝えることができません。情報が多過ぎると本当に必要な箇所がぼやけてしまい、記憶に残らないからです。もし書きたい内容がいくつもあるのであれば、それはまた別の記事として書けばよいのです。1記事に書くテーマは1つのみとし、そのテーマにフォーカスした記事を書きましょう。

起承転結にこだわらない

文章の構成法の一つである「起承転結」ですが、記事を書くときにはこだわる必要はありません。それどころか、結論が最後にあるとそこにたどり着く前に離脱してしまうこともあります。

特に、その記事に対して関心の薄い読み手は離脱しやすい傾向にあります。その場合は、結論を最初に持ってくるという手もあります。結論を先に述べて興味を引き、その後で詳細を説明するというやり方です。

逆に、読み手がそのテーマに関心があり、最後までしっかり読む意欲がある場合には、説明を丁寧にしたあとに結論を述べたほうが文章に説得力をもたせることができます。

また、2つの構成をミックスするやり方もあります。つまり「結論」→「説明」→「結論」というように、最初と最後に結論を書いてしまうのです。最初の結論で読み手を引き込み、最後の結論で「念押し」をして理解を深めるというわけです。

文章のテーマや読み手の属性によって望ましい構成は変わります。一つの構成法にこだわらず、いろいろなやり方を試してみましょう。

読みやすい文章を書く

続いて、読みやすい文章を書くためのコツをご紹介します。純粋なテクニックであり、ある程度きっちりした「答え」が用意されているため、取り入れやすい分野です。

以下のことを守るだけで、文章は見違えるようによくなります。ぜひ試してみてください。

【1】一文が長くなり過ぎないよう気をつける

伝えたいことがたくさんあると、ついダラダラした長い文章になってしまいます。

しかし、長い文章は単純に「読みづらく」なってしまいます。例えば、以下のような文章はどうでしょうか。

80歳を過ぎて20本以上の歯を残している方は、ステーキもおせんべいも食べることができ、お友達との外食が苦にならないため、性格も社交的で常に機嫌がよい傾向にあるという調査結果が出ていることからも「8020運動」の大切さがうかがい知れます。

一文が110文字もあり、長くて読みづらい文章です。それでは、3文に分けるとどうでしょうか。

80歳を過ぎて20本以上の歯を残している方はステーキもおせんべいも食べることができます。お友達との外食が苦にならないため、性格も社交的で常に機嫌がよい傾向にあるという調査結果が出ています。このことからも「8020運動」の大切さがうかがい知れます。

44文字・50文字・26文字に分割しました。先ほどの文章と比べると読みやすくなったのではないでしょうか。

明確な決まりはありませんが、できれば40文字以内、長くても60文字以内におさめると読みやすい文章になります。

【2】漢字とひらがなのバランスを取る

文章の内容を把握するためには、漢字とひらがなのバランスを取ることが重要です。以下の文章を読んでみてください。

歯列矯正には沢山の種類があり、特徴も様々です。矯正に費やせる期間や生活習慣を考慮し、最も良い方法を自身で選択する事で納得のいく治療が出来ます。勿論、費用面も重要な選択基準となります。

漢字が多過ぎて、読みづらい印象を受けたのではないでしょうか。一般的には、漢字とひらがなの比率が3:7（カタカナ0～1割）が読みやすいといわれています。その比率に合わせて文章を修正すると以下のようになります。

歯列矯正にはたくさんの種類があり、特徴もさまざまです。矯正に費やせる期間や生活習慣を考え、もっともいい方法を自身で選ぶことで納得のいく治療ができます。もちろん、費用のことも考えなくてはなりません。

このように、ひらがなに置き換えても違和感のない言葉はひらがなに変えたり、表現を変えたりすることで、漢字とひらがなのバランスが取れた文章になります。1記事に使われている文字種の割合は、Wordの「読みやすさの評価」やWeb上のツールで計測することができます。

ただし、業種やターゲットによって適切なバランスは変わりますので、一つの基準としてとらえておきましょう。

【3】適切な語句や表現を使う

特に自分の専門分野で記事を書く場合、専門用語や難しい語句をつい盛り込んでしまいがちです。

しかし、あまりに難しくし過ぎると敬遠されてしまい「読まれる文章」にはなりません。誰にでも理解されやすくわかりやすい語句や表現を選ぶことが重要です。とはいえ、簡単であればあるほどよいというわけではありません。

例えば、AとBの文章を読み比べてください。どちらの文章が読みやすいでしょうか。

A　当院では、インフォームドコンセントを行ったうえで治療を開始します。

B　当院では、これから行う治療についてしっかり説明し、患者様にご納得いただいたうえで治療を開始します。

「Aのほうが短くて読みやすい」「『インフォームドコンセント』では意味がわからない。Bのほうがわかりやすい」など、意見が分かれるのではないでしょうか。

このときに重要なのは、先ほど設定した「ターゲット」の存在です。ターゲットがこの文章を理解できるか、ターゲットに好まれる語句や表現を使っているかという視点に立てば、自然とどのような書き方をすればよいかわかるはずです。そのためにも、ターゲットは具体的に設定しておきましょう。

【4】文末の型を統一させる

日本語の文末は大きく分けて「だ・である」と「です・ます」の2種類があります。SNSの記事では基本的に「です・ます」を使います。また、2種の文末が混在しないように気をつけましょう。

【5】箇条書きや表をうまく使う

先ほどの「一文の長さ」のところでもお伝えした通り、あまりにダラダラと長い文章は読みづらくわかりづらいものです。その場合は文章を分けますが、内容によっては箇条書きや表に置きかえるという手もあります。

例えば、以下のような文章があったとします。

セラミックは虫歯になりづらく、長持ちしますし、自然な歯に近く目立ちにくいうえに、メタルタトゥーや金属アレルギーの心配もありませんが、保険適用外のため銀歯よりかなり治療が高額になりますし、割れたり欠けたりすることもある点には注意が必要です。

一文が非常に長いうえ、特徴（メリット・デメリット）を書き連ねているため、わかりづらい文章になってしまっています。この場合は、以下のように箇条書きにするとわかりやすいでしょう。

セラミックのメリット

• 虫歯になりづらい
• 長持ちする
• メタルタトゥーや金属アレルギーの心配がない

セラミックのデメリット

• 保険適用外で治療が高額になる
• 割れたり欠けたりすることがある

また、もし他の要素（例：銀歯）と比較する場合は、表にすると見やすいです。

箇条書きや表は情報を端的に伝えられるため、頭に入りやすいという特徴があります。さらに、文の中にあると図のような効果があり、注目してもらいやすくなるという効果も望めます。

過度に取り入れるとかえって読みづらくなってしまうため、バランスを考えながら挿入するようにしましょう。

ストーリーテリング

文章のトピックに関して、具体的な体験談や成功事例などがある場合には「ストーリーテリング」という手法を用いてみましょう。ストーリーテリングとは、物語性のある文章にすることで、読者に共感を求めたり、強い印象を残したりできる手法です。

ストーリーテリングの具体例としては、失敗した体験の話があります。読み手にも覚えがあるような失敗談を話すと「筆者も同じような経験をしてきたんだ」と読者が親近感をもってくれます。また「筆者の気持ちがわかるな」と共感を得ることもできるでしょう。

ストーリーテリングを用いて文章を書く際は「結論として何を伝えたいのか」「どんな気づきがあるのか」「読者が共感できる内容か」といったポイントを意識しましょう。読者が感情移入できて、新しい発見があり、筆者の伝えたいメッセージが明確に理解できる文章だと最後まで読んでもらいやすくなります。

ユーザーとコミュニケーションを取るような文章

SNSでは、ユーザーとの距離感をいかに近づけられるかが非常に大切です。雲の上の存在ではなく、同じ目線でコミュニケーションを取るような文章を心がけると、ユーザーは親近感をもってくれます。

コミュニケーションを取るような文章としては「問いかけ」があります。「こんな経験はありませんか？」「こんな悩みはないですか？」といった問いかけは、ユーザーから共感してもらったり、親近感をもってもらうのに適した手法です。

また、一方通行ではなく、双方向のコミュニケーションを心がけるのも大切です。相手の気持ちを勝手に決めつけたり、これだけが正解だと主張したりする文章は、筆者の気持ちを押しつける一方通行なものです。相手の気持ちに寄り添ったり、返信をしたりといった双方向のコミュニケーションを意識しましょう。

読みたいと思わせるタイトルをつける

タイトルが魅力的でないと、本文を読んでもらえません。どんな内容が書かれているかが簡潔にわかるようなものや、思わず本文を読みたくなってしまうようなタイトルを考えましょう。

どんなタイトルだと読みたくなるかは、文章のジャンルによって異なります。例えば、何らかの情報を発信する内容であれば、タイトルを見た際に「自分が欲しい情報が書かれているな」とわかるようなものが適切です。

一方、何らかの主張やメッセージを伝える内容なのであれば「本当は〜」「意外な〜」といった、興味をひかれる文言を用いたタイトルがよいでしょう。

タイトルは、長すぎないことも大切です。タイトルが長いと、ぱっと見た際に「どんな内容か」がわからず、興味をもってもらいにくくなってしまいます。30文字前後のタイトルにすると、ぱっと見ただけで理解できるのでおすすめです。

文章力を上げるのに役立つアイテム

文章力を上げるためのアイテムがほしい！と思ったら、一冊のノートを用意してください。サイズや厚みはお好みで、罫線が引かれたものでも方眼でも無地でもOKです。

ノートは常に持ち歩き、日々の気づき・面白いエピソード・本やテレビで得た情報などを書き込みます。箇条書きで構いませんが、誰が言ったか、どこで聞いたかといったソースを必ず記録します。あとで調べる際の手がかりにするためです。いわば、記事を書くときの「ネタ帳」というわけですが、それだけではありません。ノートを書くことで、重要な文章力である「語彙力」や「リサーチ力」が身につきます。

また、さまざまな媒体やジャンルから情報を集めることにより、視点を増やすことができます。新たな視点を得ることでまた新たな発見がありますし、相手の立場に立って考える想像力が身につくでしょう。

一冊のノートが、文章力を育てるための強い味方になります。今日からさっそく、カバンの中に忍ばせてみてはいかがでしょうか。

今すぐ取り入れよう！簡単な文章力トレーニング方法

最後に、文章力をアップさせるためのトレーニング方法をいくつかご紹介します。「すべてをしなければならない」と気負うのではなく、できそうなことから取り組んでみましょう。

とにかく文章を読む

文章力をつけるためには、とにかく文章と触れ合うことが重要です。インターネット上の記事はもちろんのこと、新聞・雑誌・小説・専門書など、媒体やジャンルは問いません。自分が楽しんで読めるものを毎日読みましょう。文章を読むことで、新たな語句や表現を学ぶことができます。また情報のインプットになるため、自分が記事を書くときの材料にもなります。

「毎日新聞を読む」「月に5冊本を読む」といった目標を立て、毎日コンスタントに活字と親しむことで、文章力を上げることができます。

とにかく文章を書く

文章を読むことでインプットができたら、今度はアウトプット、つまり自分で文章を書くことに挑戦しましょう。この場合は、やはりブログやSNSなど人に発信する場を利用する方が望ましいです。相手に伝えるための力が身につきますし、閲覧数やコメントなどで自分の文章を客観的に評価することもできます。

ほかの人の記事を添削する

ほかの人が書いたSNSの記事などを添削するのも文章力アップに役立ちます。自分で書いたものでは気づかなかったことでも、人の書いた文章だと気がつくことがあります。添削をする際には記事をGoogleドキュメントやWordにコピペし、コメント機能や変更履歴を利用しながら修正していきましょう。さながら編集者になったようで、この文章をよくしたいという意欲がわきます。

「文法がおかしい」「この語句はわかりにくいから注釈を入れたほうがいい」「この見出しとこの見出しを入れ替えたほうがよい構成になる」など、気になることがあれば修正していきましょう。文章のミスや癖に気づき、記事作成に生かすことができます。

人と会話する

文章力をつけるためには、人とコミュニケーションを取ることも重要です。中でも、会話はよい文章力アップのためのトレーニングになります。

会話は文章と違い、表に出した後で推敲することはできません。そのため、頭の中でしっかり考えてから発言する必要があります。会話をすることで自分の考えをまとめ、相手に伝わるよう話す順序や単語を選ぶという作業が繰り返されることから、文章を書く際に必要な構成力や想像力が自然と身につきます。

まとめ

SNSで読まれる文章の特徴と読まれる文章を書くためのコツやトレーニング方法をご紹介しました。

よい文章とは、相手の心を動かす文章のことです。そうした文章を書くためには、まず「相手の立場になって考える」ことが重要です。いかに上手な文章を書くかという自分中心の視点ではなく、相手がどう思うかをまず考えましょう。「このテーマで楽しんでもらえるだろうか」「この単語の意味はわかるだろうか」「引っかかるような間違った表現はないだろうか」と相手の視点から自身の文章を見つめることで、相手に伝わる文章を作り上げることができます。

自分の頭の中にしかなかったものが形になり、人の心を動かせるものになるというのはすばらしい体験です。「文章力を上げなければ」「読んでもらわなければ」と気負い過ぎるのではなく、楽しみながら取り組んでください。そうすれば、自然とあなたの文章は「読まれる」文章へと変わっていくはずです。