VSEOとは、動画コンテンツを用いたマーケティングに関する用語です。昨今は、YouTubeやTikTokの流行によって動画コンテンツの重要性が高まっており、VSEOが注目を集めています。SEOに比べて新しいマーケティング手法であるため、まだまだ認知度は低いものの、今からしっかりと対策していくことで他社と差をつけられるでしょう。
本記事では、VSEOに関する基礎知識から取り組むメリット、具体的な対策方法などについて詳しく解説します。これから動画コンテンツを用いたマーケティングをしていきたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
VSEOとは?

VSEOとは「Video Search Engine Optimization」の略で「動画検索エンジン最適化」を意味します。VSEOは動画SEOとも呼ばれるもので、GoogleやYouTubeの検索結果において自社・自院コンテンツを上位に表示させるための施策を指す用語です。
具体的には、以下のようなことを目指します。
YouTubeをはじめとした動画サイトの検索上位獲得
VSEOは、YouTubeをはじめとした動画サイトにおいて、検索結果の上位を獲得することを目的とするのが一般的です。
YouTubeのような動画サイトでは、サイトのアルゴリズムによって、ユーザーが一番求めているであろう動画を検索上位に表示させるような仕組みがあります。この仕組みに自社・自院コンテンツを最適化させて、上位に表示されやすくなることを目指すのが、VSEOです。
GoogleをはじめとしたWeb検索結果の上位表示
動画サイト以外だけでなく、GoogleのようなWeb検索の検索上位を目指すというのもVSEOの目的のひとつです。
例えば、Googleの場合「ギター 弾き方」というキーワードで検索をかけると、2番目に「動画」のボックスが登場します。この動画ボックスに自社・自院の動画を表示されるようにするというのも、VSEO施策の目的のひとつです。動画サイトとWeb検索の検索結果では、それぞれ動画の表示順位が異なるため、VSEO施策でどちらでも上位表示されるようにしていきます。
VSEOの重要性について

動画コンテンツを検索結果の上位に表示させ、より多くの人に見てもらえるようにするためのVSEOですが「通常のようによい動画を作ればよいのではないか」と感じる方もいらっしゃるでしょう。確かに、コンテンツの質は重要ですが、VSEOのようなWebマーケティングの手法も、コンテンツのクオリティと同様に非常に重要です。
以下では、VSEOの重要性を3つご紹介します。
動画コンテンツを楽しむ人が急速に増えている
サイバーエージェントの調査によると、2019年は2,592億円だった動画市場は、2025年には1兆円を超えると予想されています。これは、スマートフォンや5G回線の普及などによって、消費者がいつでも気軽に動画コンテンツを楽しめるようになったことが主な要因でしょう。また、コロナ禍による在宅時間の増加によって、動画サイトやサブスクリプションサービスで動画コンテンツを視聴する時間が増加したことも要因のひとつと考えられます。
このように、今後も動画コンテンツを楽しむ人々は増え続けると考えられており、さらに1人1人が動画視聴にかける時間も、増えていく可能性があるでしょう。このことから、VSEOをしっかりと行って、動画コンテンツを見てもらいやすくするのは非常に重要であるとい言えます。
参照元:「サイバーエージェント、2020年国内動画広告の市場調査を発表」「サイバーエージェント、2021年国内動画広告の市場調査を発表」
動画コンテンツは日々増え続けている
YouTubeには、日々膨大な数の動画コンテンツが投稿されています。2013年は毎分48時間もの動画コンテンツが投稿されていましたが、2020年の段階では毎分500時間となっており、この数字を見てもどれだけ多くの動画が投稿されているかがわかるでしょう。このように、YouTubeをはじめとした各種SNSには日々膨大な動画コンテンツが投稿されているため、ただ動画を投稿するだけではほかの動画に埋もれてしまいます。
そこで重要になってくるのが、VSEOです。VSEOをしっかりと行うことで、ほかの膨大な動画コンテンツに自社・自院のコンテンツが埋もれることなく、しっかりと動画を楽しんでもらえるでしょう。
参照元:DOMO「Data Never Sleeps 10.0」
まだ新しい分野のため、他社と差別化しやすい
検索エンジン最適化を意味する「SEO」は認知度が高まってきましたが、VSEOはまだ認知度があまり高くなく、比較的新しいマーケティング手法です。そのため、業種に関わらず本格的にVSEOに取り組んでいる企業はあまり多くなく、今から取り組んでおけば競合他社と差別化しやすくなるでしょう。
Webマーケティングにおいては、いかに早いタイミングで取り組みをスタートできるかが重要なポイントのひとつです。VSEOに取り組む企業があまり多くない今だからこそ、早期に取り組みをスタートするのが重要といえます。
VSEOに取り組むメリット

VSEOに取り組むメリットとしては、認知度・拡散力の向上や費用対効果の改善などが挙げられます。また、動画コンテンツは一度公開すれば24時間いつでも見てもらえるので、宣伝効果を発揮しつづけます。そのため、VSEOをしっかりと取り組めば、24時間体制で大きな宣伝効果を上げ続けるというのもメリットのひとつでしょう。
以下では、VSEOのメリットについて、3つのポイントに分けて解説します。
自社・自院の動画コンテンツを多くの人に見てもらいやすくなる
1つめのメリットは、自社・自院の動画コンテンツをより多くの人に見てもらいやすくなることです。
ユーザーの多くは検索上位の動画から視聴するため、VSEOの取り組みによって動画が検索上位に表示されるようになれば、再生数の増加が期待できるでしょう。また、VSEOの取り組みによって再生数が増えると、長期的に上位表示されやすくなります。逆に考えると、圧倒的に再生数が多い動画があると、その動画より上位に表示させるのは難しいということです。そのため、できる限り早い段階からVSEOに取り組み、再生数を増やしたほうがより大きなメリットを享受できるといえます。
チャンネル登録者の増加が期待できる
VSEOの取り組みで動画が視聴されやすくなると、チャンネル登録者数の増加が期待できます。
チャンネル登録者数が増えると、Googleから信用されやすくなり、チャンネルの動画全体が上位表示されやすくなるでしょう。また、新たに投稿した動画に関しても、チャンネル登録者数が多ければ再生数が増加しやすくなります。
このように、VSEOによるチャンネル登録者数の増加はチャンネルの全動画の再生数を増やすことにつながります。再生数の増加によって、よりチャンネル登録者数が増加するといった好循環が生まれるのもVSEOを取り組むメリットです。
費用対効果が高まる
VSEOで動画コンテンツが視聴されやすくなれば、1本の動画あたりの宣伝効果が高まります。このように、動画1本あたりの費用対効果が高まるのも、VSEOを取り組むメリットのひとつです。
費用対効果が高まれば、予算に余裕のない店舗・病院であっても、動画コンテンツを用いたマーケティングを継続して行いやすくなるでしょう。また、前述したように動画コンテンツは一度公開すると継続して宣伝効果を発揮します。そのため、費用対効果の高い動画ができれば、追加費用は発生せずに、長期的に高い宣伝効果を発揮できるのです。こうした費用対効果の向上や、その継続性というのも、VSEOを行うメリットといえます。
すぐ実践できる5つのVSEO対策!

VSEOを取り組む場合、日頃からYouTubeを利用している方のほうが、取り組み手法がイメージしやすいでしょう。そのため、もし店舗・病院のスタッフでYouTubeを日常的に利用するという方がいれば、その方に協力してもらうのがおすすめです。
具体的な対策方法については以下で解説しますので、ぜひ参考にしてください。
動画タイトルや概要欄に、対策キーワードを入れる
【上位表示された動画3本のうち、タイトルにキーワードが入っていた動画の本数】
キーワード | YouTube | |
---|---|---|
ギター 弾き方 | 2 | 0 |
自転車 乗り方 | 2 | 1 |
ダンス 初心者 | 2 | 2 |
卵焼き 作り方 | 3 | 2 |
ヘアアレンジ 簡単 | 3 | 3 |
英語 初心者 | 3 | 3 |
まず、動画タイトルや概要欄に、対策キーワードを入れましょう。上記の表を見てもわかるように、上位表示されている動画の多くはタイトルにキーワードが含まれています。特に、Google検索においてはキーワードが入っているかどうかが重視される傾向です。そのため、上位表示させるには最低限ターゲットとするキーワードを含めたほうがよいでしょう。
ただし、むやみに複数の単語を入れたり、とても長文のタイトルにしてしまうのはNGです。文法的に変で読みにくいタイトルはクリックされにくくなってしまい、Google側に「この動画はあまりクリックされないから、悪い動画だろう」と判断される要因になります。また、タイトルがあまりに長すぎると、Googleの検索結果に表示される際に文の途中で見切れる原因になるのです。動画タイトルは、おおよそ30文字前後で設定することをおすすめします。
タイムスタンプを設定する
タイムスタンプとは「1:50 オープニング」「2:30 解説スタート」のように、動画の何分ごろがどんな内容なのかを示す機能です。この機能を使うと、ユーザーが動画を視聴しやすくなるのはもちろん、Google検索で上位表示された際に『この動画には〇件の重要なシーンがあります』というようにタイムスタンプが表示され、ユーザーの注目を集めやすくなります。
動画のタイムスタンプを設定したい場合は、動画の概要欄に「〇:〇〇 内容」のように内容を羅列すれば、自動的にタイムスタンプが設定されます。
注意点は、時間の部分をすべて半角数字にしないと正常に機能しないという点です。コロンも含めすべて半角にする必要がありますので、入力の際には注意しましょう。
タグを設定する
タグとは、YouTubeのアルゴリズムに動画の内容を伝えるための機能です。タグ機能を活用すると、関連動画(おすすめ動画)として表示されやすくなったり、検索において上位表示されやすくなったりします。タイトルに入りきらないキーワードがある場合や、複数の言い方が考えられるキーワードなどは、このタグ機能を活用しましょう。
タグを設定する場合は、YouTube Studioから動画の編集画面に入り、画面下側の『すべて表示』をクリックすると、タグの設定項目が表示されますので、そこにキーワードを追加しましょう。
ただし、60個以上のタグを設定するとYouTube側から不審な動画と判断されてしまい、最悪動画が削除されますので、30〜40個程度に収めるのが無難です。
サムネイルを工夫する
ユーザーが視聴する動画を判断する際に、サムネイルは重要な判断材料となります。そのため、サムネイルを工夫するとユーザーに選んでもらいやすくなるでしょう。具体的には、サムネイルにキーワードを入れる、文字サイズを大きめにする、シンプルな構図にするなどの工夫が必要です。
サムネイル一つひとつをじっくり見ないユーザーが多いため、ぱっと見てすぐ理解できるようなサムネイルかどうかが重要です。もし、デザインに自信がない場合は、CanvaやAdobe Expressのようなテンプレートが豊富なツールを使用するとよいでしょう。
字幕の設定を行う
字幕の設定を行うと、海外ユーザーにも視聴してもらいやすくなります。特に、英語圏のユーザーにリーチすると非常に効率よく再生数が増加しますので、字幕設定は欠かさず行いましょう。
YouTubeは、文字起こし機能や自動翻訳の機能がとても優れていますが、できる限り手動で入力することをおすすめします。字幕をつける際には、まず動画コンテンツの編集画面から、動画の言語を選択します。そして、編集画面にある『字幕』の項目から字幕を作成しましょう。なお、外国語の字幕を追加する場合は、チャンネルトップ画面の『字幕』項目から各動画の字幕情報を編集できます。
注意点は、ターゲットとするユーザーが日本人のみの場合は、字幕設定が逆に見づらい印象を与えてしまうという点です。日本語の動画を日本人が見る場合、基本的に字幕を必要としないため、字幕を非表示にするユーザーもいるでしょう。このように、字幕は見づらさや煩わしさの原因にもなり得るため、ターゲットとするユーザーに合わせて活用してください。
VSEOに取り組む際のポイント!

VSEOに取り組むにあたっては、効率よく施策を進めるためのポイントがあります。このポイントを知らないと、行き当たりばったりの施策になってしまったり、競合になかなか勝てない状況に陥ってしまう可能性が高まりますので、しっかりと押さえておきましょう。
以下で、3つのポイントを解説しますので、参考にしてください。
目的を明確に設定し、それに向けて取り組む
VSEOを進める際は、まず目的を明確に設定する必要があります。どのような動画を誰に対して投稿し、どのくらいの期間でどの程度の結果を上げたいのかといった目標を設定しておくと、取り組みの指針となるでしょう。キーワードを設定する際にも、目的が決まっていれば、どのようなキーワードが適切か判断しやすくなります。
例えば「20代で審美治療に興味がある男性にアプローチしたい」といった目的があれば「矯正 20歳から」「矯正 大人」「ホワイトニング 男 割合」などのキーワードが考えられます。こうしたニーズに応える動画を作り、VSEO施策をしっかりと行っていくことで、より効率よく効果を発揮できるでしょう。
競合他社の調査を行う
競合他社の調査は、その企業以上によいコンテンツを提供し、より上位表示されやすくするために欠かせない取り組みです。競合がどのような動画を投稿しているか、どのようなVSEOの取り組みをしているかを把握していないと、競合に追いつけず効果が出ない原因となります。最低でも5〜10チャンネル程度の競合をリサーチしましょう。
競合を徹底的に調査すると、顧客ニーズやVSEOに関して取り組むべきことが見えてきます。さらに、顧客ニーズを満たせていない穴に気付くきっかけにもなるでしょう。例えば、競合の多くがホワイトニングに関する動画を投稿している一方「矯正中のホワイトニングに関する情報を知りたい」というニーズに応える動画が少ないということに気付くかもしれません。このように、顧客ニーズの把握と競合調査を同時に行うことで、新たなニーズや競合他社の取り組みに関する穴に気付けるのです。
動画コンテンツをしっかりと作り込む
どれだけVSEOに取り組んでも、肝心の動画コンテンツが低クオリティでは視聴者維持率(どれだけ長く、その動画を視聴したか)が低くなってしまうため上位表示されません。そのため、まずはよい動画を作るのが非常に重要です。逆に、動画コンテンツの質が非常に高ければ、視聴者維持率が高くなりやすいので、上位表示を獲得しやすくなるでしょう。
画質や音質はもちろん、カット編集やテロップ、さらにオープニングやエンディングなど、動画制作においてできる工夫はたくさんあります。昨今は、動画編集のクオリティも非常に高くなっているため、可能であれば専用ソフトを利用して編集しましょう。ソフトは、Finel Cut ProやPremiere Pro、Filmoreなどがおすすめです。
まとめ

動画コンテンツを用いた集客・集患が重要視されている現代において、VSEOの取り組みは必須となりつつあります。せっかく時間と予算をかけて動画コンテンツを制作しても、ユーザーに見てもらえなければ意味がありません。そのため、VSEOを行い、より効率よく多くのユーザーに見てもらう必要があるのです。VSEOは、比較的新しいWebマーケティング手法のため、理解しにくいと感じたり難しいと思ったりする方もいるでしょう。
しかし、本記事でも解説したように、タイトルやタグなどに少し工夫をするだけでも、効果があります。最初から高度な取り組みを行う必要はありませんので、できることから少しずつ対策していきましょう。