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2023年02月09日更新日:2024年04月19日

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顧客エンゲージメントとは、企業と顧客との関係性を示す言葉で、昨今のマーケティング業界において重要視されている言葉です。顧客エンゲージメントを高めると、売上の安定化や商品開発力の向上などに役立つとされています。

本記事では、そんな顧客エンゲージメントについて、言葉の意味や高めるメリットなどを詳しく解説します。顧客との関係構築にお悩みの方は、参考にしてください。

顧客エンゲージメントとは?

テーブルの上でパソコンや資料を置いている

顧客エンゲージメントとは、顧客との信頼関係を表す言葉です。そもそもエンゲージメント(engagement)には「約束」や「誓約」といった意味があります。企業と顧客との関係性・信頼性を表すのが、顧客エンゲージメントなのです。顧客エンゲージメントは、SNS上での感想のシェアや商品のリピート購入、再来店回数などで図ることができます。

好きなブランドの店舗や飲食店、医院などに「何回訪れたか」「いつから利用しているか」「口コミ・レビューをしたか」「SNSにそのお店に関する投稿をしたか」「イベントに参加したか」などが、顧客エンゲージメントを表す主な指標です。顧客エンゲージメントが高いほど、企業と顧客の信頼関係が強固で、長期にわたって良好な関係を築けているといえます。

顧客エンゲージメントが重要視される理由

グラフを指すビジネスマン

前述したように、顧客エンゲージメントは企業と顧客との間の信頼関係を表す言葉です。

では、近年において、なぜ顧客エンゲージメントが重要視されるようになってきたのでしょうか。顧客エンゲージメントが重要視されるようになってきた背景としては、顧客の購買方法の変化や市場競争の激化、さらに技術革新など、さまざまなものが考えられます。

以下では、顧客エンゲージメントが重要視されるようになってきた理由について、詳しく解説します。

ネットの普及によって購買方法が変化した

ネットの普及によって、顧客の購買方法は大きく変化しました。店舗に行かずに商品を購入したり、オンラインでサービスを受けたりと、店舗に足を運ばない購買プロセスが当たり前になっています。こうした購買プロセスの変化によって、商品・サービスを比較・検討する方法も大きく変化してきているのです。これまでは、メディアや企業が発信する情報をもとに、店舗で試しながら比較・検討するのが当たり前でした。

しかし、ネットが普及してからは、膨大な口コミ情報を基に比較検討するのがスタンダードとなっています。このような購買プロセスにおいて、企業がどのくらい信頼されているかは非常に重要なポイントです。「この企業なら間違いないだろう」「このブランドの商品はいつもいいから、新商品を買おう」など、口コミに左右されない「顧客エンゲージメントの高い状態」を作り出せるかがとても大切になってきています。

市場の変化や技術革新によって、製品のコモディティ化が進んだ

コモディティ化とは、高い付加価値を持っていた商品の競合が登場して市場価値が低下し、普通の商品になることを指します。

昨今は、さまざまな分野において製造技術が進歩し、よい商品を安く簡単に量産できるようになりました。ネットショッピングをしていても、有名商品に似た安い商品を複数見かけるケースは少なくないのではないでしょうか。

製品のコモディティ化が進むとともに、コモディティ化するまでの期間も短くなっている現状において、顧客エンゲージメントは非常に大切です。「このブランドだから買いたい」「この企業の製品が好き」と感じてもらえれば、どれだけ競合が現れようとも顧客が大量に離れることはありません。いかに顧客エンゲージメントを高めて、商品を継続して利用してもらえるかが、競争が激しい市場においては大切なのです。

顧客ロイヤリティ、顧客体験価値、顧客満足度との違い

ビジネスマンと資料やグラフ

顧客エンゲージメントと似ている言葉として「顧客ロイヤリティ」「顧客体験価値(CX)」「顧客満足度(CS)」があります。これらの用語は、顧客エンゲージメントを高めるうえで知っておく必要のある言葉なので、それぞれの意味をしっかりと覚えておきましょう。

以下では、顧客エンゲージメントと各用語の違いを解説します。

顧客エンゲージメントと顧客ロイヤリティの違い

顧客エンゲージメントに似た言葉として「顧客ロイヤリティ」があります。

顧客ロイヤリティとは、顧客が商品や企業に対してどのくらい愛着や信頼を感じているかを示すものです。顧客エンゲージメントと顧客ロイヤリティの主な違いは、着目するポイントにあります。顧客エンゲージメントは「自社のサービスや商品に対して、顧客はどのようなリアクションを起こしたか」という感情に着目します。一方、顧客ロイヤリティは「企業にどのくらい愛着を持ってくれているか」という感情がポイントです。つまり、顧客エンゲージメントは「顧客の行動」がポイントで、顧客ロイヤリティは「顧客の感情」がポイントという点に違いがあります。

調査をする際にも、顧客エンゲージメントは顧客行動を調査するのに対して、顧客ロイヤリティはアンケートを通して調査する点で違いがあります。

顧客エンゲージメントと顧客体験価値(CX)の違い

顧客エンゲージメントと「顧客体験価値(CX)」も意味を混同しやすいものです。

顧客体験価値はCX(Customer Experience)の略で、企業が提供するサービス・商品によって顧客がどのような体験を得られるか、そこにどんな価値があるかを示す言葉です。つまり、顧客体験価値は顧客の一時的な感情を表すのに対して、顧客エンゲージメントは長期的な感情や信頼性を表すといった点において違いがあると言えるでしょう。

顧客体験価値は、顧客エンゲージメントに直結する重要な指標であるともいえます。良質な顧客体験価値を提供し続けることで、企業と顧客との間に信頼関係が生まれ、顧客エンゲージメントを高められます。

顧客エンゲージメントと顧客満足度(CS)の違い

顧客エンゲージメントと似た言葉には「顧客満足度(CS)」もあります。

顧客満足度は、商品やサービスに対して顧客がどのくらい満足したかを表す言葉です。顧客エンゲージメントとの主な違いは、顧客の行動を判断軸に含めるかどうかでしょう。例えば、商品やサービスにとても満足してくれたのであれば、顧客満足度は高いといえます。

しかし、リピートに繋がらなかったり、満足はしたものの口コミをするほど気に入ってくれなかった場合は、顧客エンゲージメントは高いとはいえません。このように、サービスや商品そのものの評価を指すのか、その後の関係性にまで着目するのかといった点において、顧客満足度と顧客エンゲージメントの違いがあります。

顧客エンゲージメントを高めるメリット

ビジネスマンがデスクの上にパソコンや資料を置き話し合っている

競争が激化した市場で生き残るためには、顧客エンゲージメントを高めていくことが必要不可欠です。顧客エンゲージメントを高めると、売上はもちろん、製品開発においてもさまざまなメリットがあります。エンゲージメントを高めてさまざまなメリットを享受できるかによって、企業の売上は大きく変わるでしょう。

以下では、顧客エンゲージメントを高めるメリットをご紹介します。

リピート率が向上し、売上が安定する

顧客エンゲージメントが高まれば、顧客がサービスをリピートしてくれる確率が高まります。リピート率が向上すると、長期的に安定した売上を出しやすくなるでしょう。

浮き沈みがない安定した売上を生み出すことは、企業を長期にわたって存続させるためには必要不可欠です。また、ベースとしての売上が安定していると、先々の見通しも立てやすくなります。

フィードバックをもらって商品・サービスの改善ができる

顧客エンゲージメントが高まると、顧客のイベント参加やアンケート協力によってフィードバックを得やすくなります。

顧客から企業へのフィードバックを得やすくなると、ニーズが把握しやすくなり、商品やサービスの改善も行いやすくなるでしょう。また、新商品を開発する際にも、既存顧客のリアクションを予想しやすくなります。つまり、顧客ロイヤリティを高めることにも繋がるのです。

口コミによって新規顧客が増えやすくなる

口コミのような行動を取ってくれるようになるのも、顧客エンゲージメントを高めるメリットです。顧客の口コミが増えれば、新規顧客の増加にも繋がるでしょう。

実際、ネット通販の検索順位は、レビュー・口コミの件数が影響するため、既存顧客の口コミ投稿が新規顧客の獲得にも大きく影響するといえます。特に、新商品を出す場合は初動がとても重要です。顧客エンゲージメントが高いと、初動の段階でSNSやネットショップなどを通じて多くの人が口コミを投稿してくれるので、好調な滑り出しを切れるでしょう。

ファンの存在が見える化して、従業員のモチベーションが高まる

顧客エンゲージメントが高まると、口コミやフィードバックなどで顧客からの意見を吸い上げやすくなったり、イベントを通して顧客と企業が会話しやすくなったりします。企業と顧客がしっかりと関われるようになると、ファンの存在が「見える化」して、従業員のモチベーションアップに繋がるでしょう。会社で製品開発をしたり、マーケティング案を考えているときは、顧客の顔が見えず「本当に意味があるのか」「買ってくれる人がいるのか」と不安になることもあるかもしれません。

しかし、顧客の存在が明確になると「必要とされているんだ」「自分が考えたことが顧客にも伝わっているんだ」と喜びを感じやすくなります。このように、顧客との関係性をよくすることは、企業の従業員に非常に大きなメリットがあるのです。

顧客エンゲージメントを高めるデメリット

タブレットを見せて話し合っている

上記のように、顧客エンゲージメントを高めるとさまざまなメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。デメリットを把握していないと、顧客との信頼関係をうまく築けなかったり、社内業務が滞る原因となるため注意が必要です。

以下では、顧客エンゲージメントを高めるデメリットについて詳しく解説します。

トラブルがあった際のマイナスが非常に大きくなる

顧客エンゲージメントを高めると、トラブルがあった際の影響が大きくなる可能性があります。満足度は高いもののエンゲージメントはそれほど高くなかった場合、そもそも顧客は企業の動向を注意深く見てはいませんから、何らかのトラブルがあってもそこまで大きな影響は出にくいと考えられます。

しかし、顧客エンゲージメントが高い場合は「信頼していたのに」「裏切られた」と、ネガティブの感情を抱くケースが多くなってしまい、マイナスな影響が広がってしまうリスクがあるでしょう。もちろん、トラブルがあっても崩れない強固な関係性を築けていれば問題ありませんが、よい印象を持っていた分、大きくマイナスに振れやすいといったデメリットが考えられます。

取り組むべき課題が増える

顧客エンゲージメントを高めようとする場合、企業の長期的な取り組みが必要不可欠です。ブランドの方向性を固めたり、方針に沿った商品を製作したりするのはもちろん、SNSやホームページでの情報発信も行うなどして、ブランディングをより強固なものにしなくてはなりません。また、顧客からのリアクションを定期的に調査・分析し、今後の取り組みに反映させる必要もあるでしょう。

このように、顧客エンゲージメントは長期にわたって一貫した取り組みを継続しなくてはならず、場合によっては取り組むべき業務が膨大になる可能性があります。もちろん、前述したような取り組みは全企業が行うべきことですが、取り組みの「深さ」や「期間」が異なるために負担も大きくなりがちなのです。

まとめ

ビジネスマンと資料やグラフ

顧客エンゲージメントを高めるのは、長期的に経営を安定させるために重要です。また、新商品の開発や新規顧客の開拓といった面においても欠かせないものであるといえるでしょう。顧客エンゲージメントを高めるためには、長期にわたる取り組みが必要不可欠です。始めた当初は効果が見えず、課題ばかりになってしまうかもしれません。

しかし、取り組みを通して顧客エンゲージメントが高まれば、よい商品・サービスを提供しやすくなり、顧客・企業双方にとって気持ちのよい関係性が築けるでしょう。

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