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【2023年版】SNS炎上はなぜ起こる?炎上企業事例と未然防止策をご紹介
2023年02月26日更新日:2024年07月24日
SNSは誰でも手軽に投稿でき情報拡散力が高いという特長がありますが、それゆえにネガティブな内容も広まりやすく、いわゆる「炎上」の状態を引き起こすこともあります。特にビジネスでSNSを利用している場合は、イメージダウンや集客・集患減につながり、致命的なダメージを受けてしまう危険性があります。
SNS炎上はなぜ起こるのでしょうか。SNS炎上を防止するには、また炎上してしまった場合には、どのような対策を取ればよいのでしょうか。具体的な事例を交えて解説します。
炎上とは
炎上とは、ネット上で特定の個人や企業に非難・批判・誹謗中傷が殺到する状態を指します。どの時点から炎上と呼ぶのか、その明確な基準はありませんが、該当するSNSにおいて正常な運営ができなくなるほどネガティブな投稿が集中したり、該当アカウントの運用者である個人の生活や企業の経営が脅かされたりする場合は「炎上した」と見なされる場合がほとんどです。
SNSで誹謗中傷する人の心理
SNS上で誹謗中傷する人の心理として考えられるのは、以下の4つです。
- ストレスが溜まっている
- 強い正義感をもっている
- コンプレックスを抱えている
- 怯えている人を見て楽しんでいる
それぞれについて解説します。
ストレスが溜まっている
日頃から欲求不満状態にあったり、ストレスが溜まっていたりする人は、攻撃衝動が高まっています。誰かを攻撃して鬱憤を晴らそうと、SNSを利用する人も一定数いるのが現状です。このようなタイプは、常にほかの人の投稿を監視し、少しでも気に入らないことがあると一気に攻撃を仕掛けます。その結果、誹謗中傷に発展するのです。
SNSは匿名性なので、多少攻撃的になってもバレないと思い、憂さ晴らしに使う人が多く見受けられます。
強い正義感をもっている
強い正義感をもっている人は、自分が誤っていると感じたことに対して強く批判します。誰かを咎めた結果、誹謗中傷に発展するケースが多いです。人によって「正義」は異なりますが、強い正義感をもっている人は「自分が正しい」という気持ちが強いため、異なる意見をスルーできず、強く攻撃してしまいます。
本人は誹謗中傷しているつもりはないので、自制心が効きにくく、問題に発展しやすいのが特徴です。
コンプレックスを抱えている
コンプレックスを抱えている人は、常に劣等感があります。SNSで自分より優れている人を見るとコンプレックスが刺激されたり、嫉妬心を抱いたりして感情が高まり、攻撃に走りやすいです。
お金持ちの人や学歴が高い人、結婚している人など、自分が手に入れていないものを手にしている人に対して誹謗中傷をする傾向があります。
怯えている人を見て楽しんでいる
萎縮している姿や怯えている人を見て楽しむために、誹謗中傷をする人もいます。ふだんは穏やかな人でも、SNSなどでは人が変わり、誰かを攻撃して楽しむ人も少なくありません。SNSは相手の顔が見えなかったり匿名だったりするため、誰かを痛めつけることに対する抵抗が小さくなっています。
現実ではいじめや誹謗中傷はできないけれど、SNSならよいと安易に考える人が一定数見受けられます。
SNS炎上が起こる原因
企業アカウントにおいてSNS炎上が起こる原因としては、投稿内容だけではなく企業や社員の不適切な言動・悪意のあるユーザーによる投稿や誤解などさまざまです。それによって防止策や対処法も変わりますので、まずは炎上が起こる原因を把握しておきましょう。
不適切な投稿による炎上
SNS炎上が起こる原因の多くは投稿内容によるものです。特に企業アカウントの投稿は、投稿者個人ではなくその企業の発言とみなされるため細心の注意を払うことが求められます。特に以下の点に気を付けて、読む人に不快感や不信感を抱かせないよう注意しましょう。
【1】議論を起こす原因になる発言
人によって意見が極端に分かれたり、アンチやファンがいたりする話題は議論や批判を招き、炎上に発展する危険性があります。特に炎上の原因となりやすいのは、「4S」と呼ばれる以下4つに関する話題です。
- 政治についての個人的見解
- スポーツについての意見
- 宗教についての意見
- 性についての意見
【2】配慮に欠けた発言
SNSはホームページやブログと比較するとカジュアルな印象で、気軽に投稿できる点が大きな長所です。
しかし、それゆえに担当者の個人的見解を前面に押し出してしまったり、話題性を求めるがゆえに過激な発言をしてしまったりすることがあり、炎上に結びつく危険性をはらんでいます。特にTwitterは、ユーザーとの距離が近いこと・投稿できる文が短いことから、距離感を見失った発言や言葉足らずの発言をしてしまいがちです。
【3】機密情報や個人情報の公開
機密情報や個人情報など、漏えいしてはいけない内容をSNSにアップしてしまうのも炎上の原因になります。内容によっては、担当者の解雇だけではなく損害賠償に発展することもあります。のちほど事例で紹介しますが、病院や歯科医院ではカルテに詳細な個人情報が掲載されており、個人アカウントにて個人情報を漏えいしてしまうという問題も起こっています。
誤操作・誤爆
誤操作・誤爆によって炎上が起こるケースは少なくありません。よくあるのが、担当者がプライベートのアカウントに投稿したつもりで、企業アカウントに投稿してしまうケースです。また、投稿テストを行う際、誤って本当に投稿してしまうこともあります。
企業や社員の言動による炎上
投稿そのものではなく、企業や社員の言動からSNSに非難や批判が集まり、炎上に発展してしまうケースもあります。特に炎上の原因になりやすいのが以下の4点です。
【1】会社関係者の言動
会社の重役や従業員の不適切な言動がSNSの炎上に結びつくケースです。代表的な例が「バイトテロ」と呼ばれる従業員の悪ふざけ行為です。アルバイト従業員が店舗の設備や商品を粗末に扱ったり不潔な行為をしたりしている様子を画像や動画で撮影し、それをSNSにアップするというものです。
企業・店舗の公式SNSへの炎上につながるだけではなく、売り上げの大幅ダウンや閉店に追い込まれる店舗もあり、大きな社会問題となりました。
【2】会社関係者の個人アカウントでの投稿
従業員が個人アカウントで機密情報や個人情報を漏えいしてしまったり、不適切な言動をしてしまったりした場合も炎上につながる場合があります。TwitterやInstagramには匿名性がありますが、現在ではほかの投稿などから特定される場合もあり、企業に対する批判・非難に発展してしまうこともあります。
【3】企業活動への批判(不適切な広告・不祥事)
異物混入や情報漏えいといった企業活動における不祥事・不適切な発言・プロモーションが原因でSNS炎上が発生するケースもあります。なかでも、先ほどご紹介した「4S」に関連する発言やプロモーションは炎上しやすいため、4Sに関係する業種は特に注意が必要です。
【4】内部告発
社員や関係者による内部告発もSNS炎上の原因になりえます。就業規則に反している・ハラスメント行為があった・情報隠ぺいがあったなど、告発の内容はさまざまです。こうした内部告発は、企業の体制を変えたいという正義感から行われることもありますが、企業への意趣返しや炎上目的など悪意によるものもあります。どちらにせよ、個人対企業では個人の方に同情が集まりやすく、企業の対応によっては不買運動につながってしまうケースもあります。
ユーザーのなりすまし行為
ユーザーが会社の従業員になりすまし、内部告発や不適切な情報を流したり、事実無根のクレーム発言をしたりすることから始まるケースです。このような批判的なコメントは特に拡散されやすく、あっという間に炎上に発展してしまう危険性があります。
実際に起きた企業のSNS炎上事例
実際に起きた企業のSNS炎上事例をいくつかご紹介します。炎上が発生する原因には傾向やトレンドがありますので、事例からそれを掴み、適切な投稿を行うようにしましょう。
ウォルト・ディズニー・ジャパン
2015年8月9日9時、ウォルト・ディズニー・ジャパンが公式Twitterアカウントにて「なんでもない日おめでとう」と投稿されました。
しかし、8月9日は長崎に原爆が投下された日であり、特に70年の節目であったことから非難が殺到し、炎上に発展しました。同社は同日15時に投稿を削除し、19時に謝罪コメントを投稿しています。
楽天トラベル
2015年9月18日未明、楽天トラベルの公式Twitterより、シンガーソングライター・柴田淳のツイートに対し「ぶさいく」というリプライがあり、ファンから非難の声が集中しました。「楽天ではもう買い物をしない」との意見も寄せられ、炎上状態になりました。楽天トラベルは同日リプライにて謝罪し、原因を調査すると述べました。
洋服の青山
紳士服販売の「洋服の青山」は2020年6月にシャツなどが透けることを表す「透けハラ」という造語を使用したキャンペーンを行いました。それにより「ハラスメント」というネガティブな言葉をマーケティングに利用したこと、逆に「透けハラ」をあおっているような表現を使っていることが非難され、炎上しました。同社は同日22時30分頃キャンペーンのツイートを削除、23時頃に謝罪コメントを投稿しています。
ドン・キホーテ
総合ディスカウントショップ「ドン・キホーテ」では、2020年8月31日、公式Instagramアカウントのひとつにて「みんなはドンキで何盗んだことある?」と投稿し、炎上しました。「#これは大喜利です #万引きは犯罪です」というハッシュタグがつけられていたものの、不適切な内容として非難を浴び、翌日9月1日に削除されました。
この投稿は、ドン・キホーテの10代のメンバーが運営する10代のための情報発信プロジェクト「project 10K」の公式アカウントであり、10代のインターン生が運用していました。自由な発想による運用を基本としながらも、社会性に反する投稿はしないというルールが設けられていましたが、上記の投稿はそれに反するものとされ、削除の対象となりました。
レタスクラブ
生活情報サイト「レタスクラブ」が2020年9月17日に配信した「『毒メシ』をやめて成績アップ!子どもが天才になる食事」にて、ごく一般的な家庭料理が学力向上を妨げる「毒メシ」であると解釈されるような描写があり、科学的根拠などに対してSNSに疑問や批判が殺到し、炎上しました。編集部は当該記事を削除し、Webにお詫びを掲載しています。
茨城県鹿嶋市の病院
茨城県鹿嶋市にある病院では、2021年5月18日、病院に勤務している女性がJリーグの鹿島アントラーズの選手に関する個人情報をTwitterの個人アカウントに投稿し、炎上しました。19日に事態を把握した病院がWebサイトに謝罪文を掲載し、女性への事情徴収と再発防止に努める旨を発表しました。
広島県
広島県は、広島県の公式Twitterにて、2021年11月27日に同県で発行している「働く女性応援よくばりハンドブック」を広めるツイートを行ったところ「まったく応援になっていない」「なぜ女性が働くことが欲張りといわれるのか」などと内容に物議を醸し、炎上しました。数々の批判を受け、広島県は内容の改定を検討すると発表しています。
のら猫バンク
のら猫バンクは、2022年12月15日に「ねこホーダイ」という猫のサブスクリプションサービスを開始しました。「月額380円を支払えば誰でも猫を飼える」「万が一事情があって飼えなくなった猫はねこホーダイで引き取る」と売り出しましたが、SNSでは「命の軽視だ」「動物虐待をする人の手に猫がわたったらどうするんだ」などと批判が殺到し、炎上しました。電子署名活動が広がりを見せ、同サービスは開始から2週間で停止と会員への返金対応を発表しています。
SNS炎上を未然に防ぐための対策
SNS炎上は「炎上」と表現されるとおり、一度発生すると野火のようにあっという間に広がってしまい、収めるのが難しくなってしまいます。SNS運用を始める際に、炎上を未然に防ぐための対策をしっかり行っておくことが重要です。それに加え、定期的にルールの見直し・従業員への周知・SNSの巡回を行って、炎上が起こらないよう常に警戒しておくことが必要です。
SNS炎上の具体的な未然防止策について解説します。
ソーシャルリスニングを行う
ソーシャルリスニングとは、SNSにおけるユーザーの意見を聞き、それに沿った施策を行うことを指します。ソーシャルリスニングはユーザーのニーズに合ったSNS運用のために必要不可欠なものですが、炎上防止にも有効です。どのような話題にユーザーがセンシティブな感情を抱くのか、その傾向を把握するだけで、炎上につながる投稿を回避したり炎上の火種を早期に発見したりするのに役立ちます。
運用ルールを設定する
SNS運用を始める前には、まず運用ポリシーやガイドラインを決めます。それをもとに従業員や運用担当者向けのマニュアルを策定し共有できるようにしておきましょう。一度周知しただけでは浸透しなかったり忘れてしまったりするため、定期的に全社周知・テスト・社員教育を行うことが重要です。
社員教育を行う
SNSの普及により社員の多くは「SNS慣れ」しています。企業のSNS導入がスムーズであるという利点はありますが、その反面、プライベートと同じ感覚でSNSに関わってしまう危険性があります。先ほどご紹介したとおり、企業アカウントでの発言は発信した担当者個人ではなく企業全体の見解とみなされます。また、SNS運用担当者ではなくても、個人のSNSで情報漏えいや不適切な発言をしてしまうことで、企業に対する批判に発展する場合もあります。そのためにも、SNS運用担当者だけではなく社員全員に対し社員教育を徹底することが必要です。
一般的なネットやSNSに関する知識はもちろんのこと、企業が独自に設定したSNSポリシーや運用ガイドラインについても社員全員に教育し、ネットリテラシーの向上に努めましょう。
複数担当者によるチェックを行う
SNSは、ホームページやブログと比較すると担当者の色が出やすく、投稿内容に人間味が感じられる点が魅力です。
しかしその一方、ユーザーによっては不快に感じる発言や言葉遣いをしてしまう危険性もはらんでいます。運用担当者が一人で投稿を管理するのではなく、投稿内容が適切かどうかほかの担当者がチェックできる体制を整えることが求められます。
こまめにSNSを監視する
「火は小さいうちに消せ」という言葉があるように、SNS炎上も拡散前の早い段階で対応することが重要です。こまめにSNSを監視し炎上に発展するようなコメントがないかを確認することで、早期対応が可能になります。社内の監視が困難な場合は、監視ツールや監視を請け負う代行会社の利用も検討するとよいでしょう。
企業活動を適切に行う
先ほどご紹介したとおり、SNS炎上の原因はSNSそのものだけではなく、企業活動・従業員の言動・内部告発・なりすまし行為などさまざまです。投稿以外の要素によるSNS炎上を防止するためには、企業活動を適切に行うことが必要です。
外部に向けた発言やプロモーションはもちろんのこと、内部においても就業規則違反やハラスメントが発生しないよう、正しい企業活動を行うようにしましょう。そうすることによって炎上の原因を減らせるだけではなく、ユーザーの悪意による炎上が発生しそうになった際、ほかのユーザーにフォローしてもらえる可能性が高まります。
SNSが炎上してしまった場合の対処方法
上記のような対策を行っていても、SNS炎上のリスクを完全に0にすることはできません。
しかし、たとえSNS炎上が起こったとしても、適切な対応をすれば早い段階で沈静化させることは可能です。最も重要なのは、焦らず冷静に対処することです。具体的な対処方法については以下に詳しく解説します。
SNSの投稿を一時停止する
炎上後、なにごともなかったかのように今までと同じ内容や同じペースで投稿を行っていると、ユーザーに不信感を抱かれ、さらなる批判を浴びる恐れがあります。炎上が起こったSNSアカウントでは、通常の投稿は一旦ストップし必要最低限の情報発信にとどめましょう。
ガイドラインに則り落ち着いて対応する
炎上が起こると気が動転してしまい、全体での意思統一がないまま投稿削除や謝罪などの「火消し」の行動に走ってしまいがちです。その結果、対応が二転三転し、かえってユーザーに不信感をもたれることにもなりかねません。あらかじめ作成したガイドラインに則り、冷静に順序だてて対応するようにしましょう。特に、炎上に関する情報の記録・会社全体の情報共有・意思統一は迅速に行うことが重要です。
会社としての対応策を考え、実行する
情報をまとめ、それを共有したうえで、会社としてどのような対応策をとるかを協議します。炎上に関する情報を開示し、弁明や謝罪を行うケースが多いですが、いわれのない誹謗中傷の場合は訴訟も検討する必要があるでしょう。いずれの場合も、ユーザーには情報開示を行い、誠実に説明することが重要です。
投稿削除はタイミングを見て行う
炎上が発生した場合、その原因になった投稿はすぐに消してしまいたいものです。
しかし、一度公開してしまうと、スクリーンショットやネット魚拓などで保存されてしまいます。投稿削除によって解決するどころか「証拠隠滅」とみなされ、かえって炎上が加速してしまう危険性もあります。投稿削除は情報公開や謝罪を行い、炎上がある程度収まってから行うようにしましょう。
誹謗中傷には毅然とした態度で臨む
炎上の原因がユーザーのなりすましや事実無根のクレームといった悪質なものである場合や度を越して激しい誹謗中傷に発展した場合は、SNS運営者に対する請求や裁判所への仮処分申し立てによる削除ができる場合があります。それに加え、不適切な発言をしたユーザーに対して警察署にて刑事告訴や発信者情報開示請求による個人特定を行うこともできます。
名誉を守るためにも、また再発防止のためにも、悪意ある行為には毅然とした態度で臨むことも検討しましょう。
炎上した原因を追求し、再発防止策を講じる
SNSが炎上した際には、必ず原因を追求し、再発防止策を講じましょう。炎上した原因や再発防止策を講じないと、また同じ内容で炎上を起こす可能性があります。
原因を細かく分析して再発防止策を講じたら、内容をガイドラインに落とし込んでください。ガイドラインを入れ込めば、同じ原因での炎上は起きなくなるでしょう。
まとめ
SNS炎上が起こる原因と、起こる前と起こったあとのそれぞれの対処方法についてご紹介しました。SNSはユーザーとの距離が近くコミュニケーションが取りやすいというメリットがありますが、その反面、投稿内容によってはユーザーに不快感を与え、批判や誹謗中傷の的となってしまう危険性もあります。SNS運用のポリシーやルールをしっかり決め、投稿前に入念にチェックをすることで炎上リスクを軽減できます。
しかし、どれだけしっかり対応しても、不特定多数の人の目に入るというSNSの性質上、炎上リスクを完全になくすことはできません。SNS炎上が起こった際は慌てず冷静に対処するようにしましょう。ルールに則った情報開示や謝罪を行うのはもちろん、行き過ぎた誹謗中傷や悪意ある行為には毅然とした対応をすることも必要です。