近年はクリニックを開業しただけでは、患者さんは来院しなくなりました。その背景にはスマートフォン(インターネット)ユーザーが増え、ホームページ・SNS・口コミなどで情報収集したうえでクリニックを選ぶユーザーが増えたことがあげられます。そのため、集患・増患を効率的に行っていくには「オンライン」「オフライン」両方の施策が必要です。
この記事では「集患・増患とは?」から始まり「オンライン・オフラインでの集患・増患方法」「集患・増患のために重要なこと」を徹底解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
集患・増患とは?

「集患」とは、新規の患者さんを集めることです。飲食店などでいう「集客」が、クリニックにおける「集患」となります。
一方「増患」は、患者さんを増やすことです。増患も新規の患者さんを集める意味でも使用されますが、主にリピートしてくれる患者さんを増やす意味で使用されることが多いです。
集患・増患に効果的な方法

集患・増患に効果的な方法を「オンライン」「オフライン」に分けて解説します。オンライン・オフラインの両面からアプローチすることで、幅広い年齢層の患者さんを集患・増患できるようになります。
オンラインでの集患・増患方法
オンラインの効果的な方法は、以下の7つです。
- ホームページ制作
- SEO対策
- MEO対策
- SNS運用
- LINE公式アカウントの導入
- オンライン予約システムの導入
- Web広告運用
それぞれ詳しく解説していきます。
ホームページ制作
クリニックのことを詳しく知ってもらうには「ホームページ」の制作が効果的です。以下で解説する必須要素をホームページに掲載することで、集患・増患に大きな効果があります。
- 電話番号・住所・アクセス方法
新規の患者さんがスムーズにクリニックを利用できるよう、電話番号・住所は必ず掲載しましょう。地図を用いてアクセス方法を詳しく説明してあると、より患者さんに親切といえます。
- 診察時間・休診日
診察時間・休診日も必須の項目です。土日祝や夜間も診察を行っている場合は、目立つように記載すると集患・増患効果が高まります。
- 診察科目・診察内容
何のクリニックなのか掲載していないと患者さんに混乱を与えてしまいます。診察科目・診療内容については、具体的に分かりやすく掲載しましょう。
- 問い合わせフォーム
仕事の都合でクリニックの営業時間内に電話がかけられない患者さんや、電話が混みあって繋がらなかった患者さんのために、問い合わせフォームを設置すると親切です。設置するだけでなく、迅速な返信を心がけましょう。
- 医師プロフィール・クリニックの方針
初めてクリニックを利用する患者さんは「怖い医師だったらどうしよう」「受付の態度が悪かったらどうしよう」など、さまざまな「不安」を抱えています。これらの不安を取り除くには「医師のプロフィール」や「クリニックの運営方針」を掲載することが大切です。患者さんを安心させられるような内容を掲載しましょう。
- 院内の写真・動画
初めてクリニックを利用する患者さんは、院内の写真を見てクリニックを選ぶ方も多いでしょう。そのため、外観だけでなく、受付・待合室・医療設備など、院内の写真を掲載すると効果的です。
また、動画を活用すれば写真よりも多くの情報を伝えられるので、ぜひチャレンジしましょう。流し撮りしただけの動画では魅力を伝えることはできないので、伝えたい部分を適切な長さに編集することが大切です。今はスマートフォンと無料のソフトだけで十分すぎるクオリティの動画を作成できますので、最初は無理に高い機材を揃える必要はまったくありません。まずお金をかけずに作成してみて、よりクオリティを求めたくなったときに、一眼レフ・三脚・ジンバルなどの機材を検討するようにしましょう。
SEO対策
SEO対策とは「検索エンジン最適化」のことで、サイトが検索結果の上位に表示されるよう、さまざまな施策を行うことです。
SEO対策を行うメリットは、以下の通りです。
- 無料で始められる
- 費用対効果が高い
- 広告費が不要
- 長中期的にアクセスが見込める
- 患者さんから信用を得られる
- ブランディング効果がある
需要のあるキーワードで上位表示に成功すると多くの患者さんの目に触れることになるので、集患・増患に大きな効果が期待できます。SEO対策はすぐには効果が出ないものの、知識・施策の積み重ねで着実に成果を伸ばしていけるので、地道に取り組んでいきましょう。
MEO対策
MEO対策とは、Map Engine Optimizationの略で「ローカルSEO」とも呼ばれています。具体的には、Googleビジネスプロフィールに登録した自社の店舗情報やビジネス情報をGoogleマップの検索結果上で上位に表示させる施策のことをいいます。
MEO対策を行うメリットは、以下の通りです。
- 無料で始められる
- ライバルは近隣の同業他社のみなので、上位表示の確率が高い
- クリニックを探す際「地域名+診察科目」で検索されることが多い
- 自然検索結果よりも上部に表示されるため、患者さんの目に留まりやすい
- 口コミ対策を徹底することで、患者さんからの信頼を得られる
SEO対策よりも効果が出るまでが早くローコストで行えるため、必ず取り入れたい対策の一つです。
SNS運用
SNSを情報収集のツールとして活用している患者さんも多いので、SNS運用を積極的に行っていくことは集客・増患の効果が高いといえます。
SNS運用を行うメリットは、以下の通りです。
- 無料で始められる
- 費用対効果が高い
- 患者さんとのコミュニケーションツールとなる
- ブランディング効果がある
- 病院のイメージを伝えられる
SNS運用もSEO対策と同様、効果が出るまで時間のかかる集患・増患方法ではありますが、患者さんに有益な情報を発信し続けることでフォロワー(ファン)は着実に増えていきます。SNSはフォロワーが増えることで、より多くの患者さんに知ってもらえる機会が増えるため、目先の結果にとらわれずコツコツと有益な投稿を続けていきましょう。
LINE公式アカウントの導入
LINEはソーシャルメディアNo.1ユーザーを誇るアプリとなっているため、集患・増患のためのツールとして「LINE公式アカウント」を活用するクリニックが増え続けています。
LINE公式アカウントを活用するメリットは、以下の通りです。
- 24時間予約受付が可能
- 診察待ちの患者さんを呼び出しできる
- お知らせなどを一斉送信できる
- ステップ配信で来院を促進できる
初期費用及び月額使用料無料で使えるベーシックプランも用意されているので、まずは無料で始めてみましょう。
オンライン予約システムの導入
待ち時間の長いクリニックは、集患・増患は見込めないどころか患者さんが離れていく恐れがあります。そこで活用したいのが「オンライン予約システム」の導入です。オンライン予約システムを導入することで、予約なしの患者さんの診察時間も確保しながら、余裕のある診察が可能になります。例えば、混みあう時間の予約は30分につき1人に限定するなど、時間予約の上限を設定することもできます。
患者さんにストレスなく診察を受けてもらうためにも、オンライン予約システムを導入しましょう。オンライン予約システムの導入は、ホームページやLINE公式アカウントなどで可能です。
Web広告運用
Web広告運用には、GoogleやYahoo!などの検索結果上に表示させる「リスティング広告」、SNSのタイムライン上などに表示させる「SNS広告」、YouTubeに表示させる「動画広告」などがあげられます。SEO対策やSNS運用は効果が出るまでに時間がかかる一方、Web広告は短期間で効果を得やすい集患・増患方法です。効果的な広告運用にはWebマーケティング全般の知識が求められますが、広告の効果は絶大なため、知識・スキルを身に付け、ぜひ取り組みましょう。
オフラインでの集患・増患方法
オフラインの効果的な集患・増患方法は、以下の3つです。
- 看板広告の設置
- 地域誌やチラシでの宣伝
- イベントや講演の開催
それぞれ詳しく解説していきます。
看板広告の設置
看板広告は長期間にわたり掲載することが多く、何度も見てもらえるので、アピール力が高く知名度を上げられます。また、これまで解説してきたオンラインの集患・増患方法に比べ、特別な技術が不要なため取り組みやすいといえます。特に地方都市では、看板設置のコストが低いので費用対効果が高いです。信号待ちをする機会がある大きな交差点や人通りの多い道路の脇などに設置すると効果的でしょう。
地域誌やチラシでの宣伝
今はオンラインの情報が重視されがちですが、地域誌やチラシをこまめにチェックしている方もまだ大勢います。若い世代では少ない傾向にありますが、主婦層やシニア世代への集患・増患に効果が期待できるでしょう。
イベントや講演の開催
院内での健康に関する講演会やイベントを開催すると地域の方と直接コミュニケーションを取れるので、信頼を獲得する絶好の機会となります。患者さんがクリニックを選ぶ際に最も大切な要素は「信頼」だといっても過言ではありません。地味な活動に思えるかもしれませんが、定期的にイベントや講演を行い続けることで着実に信頼を積み上げていくことができます。目先の結果にとらわれず、継続して行っていきましょう。
集患・増患のために重要なこと

集患・増患のために最も重要なことは「患者さんの満足度をあげること」です。オンラインやオフラインでの集患・増患の施策を行い、一時的に患者さんが増えたとしても、満足度の低いクリニックではすぐに患者さんは離れてしまいリピートされることはありません。
患者さんの満足度をあげる方法としては、以下の4つがあげられます。
- アンケートの実施
- プライバシーの配慮
- 職員の教育
- 療養環境を整える
それぞれ詳しく解説していきます。
アンケートの実施
クリニックに対して不安や不満を抱いても、直接クリニックに伝える方はほとんどいません。そのため、問題が可視化されず、いつまで経っても患者さんの満足度が低いままといったことがあります。そこでおすすめなのが「アンケート」です。匿名で記入してもらうことで正直な意見をいただけるため、患者さんの不安・不満を可視化し、改善に繋げられます。
プライバシーの配慮
患者さんは、ほかの患者さんに自身のことを知られたくありません。そのため、受付・待合室・診察室での会話がほかの患者さんに聞こえないように配慮することが大切です。
- 受付や待合室で事前に症状を確認する際は、口頭ではなく問診表を用いて確認する
- 診察室での会話は極力小さな声で行う(もしくは診察室の防音対策を行う)
- 名前ではなく、受付番号による呼び出しを行う
これらの配慮を行うことで、患者さんが安心してクリニックを利用できるようになります。
職員の教育
日々の業務に追われ、職員の教育が行き届いていないケースは多くみられます。特にクリニックでは、コンプライアンスを遵守することが必須のため、必ず職員を教育する場を定期的に設けましょう。
クリニックの職員に教育すべき項目は、以下があげられます。
- コンプライアンス教育
- 就業規則や理念の共有
- 業務内容の確認と統一
- ビジネスマナー教育
教育環境が整っていないと、職員が不祥事を起こしてしまうリスクが上がります。ひとたび悪評が広がってしまうとクリニックの経営に大きな影響が出てしまうため、職員の教育は定期的に行いましょう。
療養環境を整える
療養生活を送る患者さんにとって、院内の環境が安全かつ快適であることはとても大切です。ストレスなく過ごせるということは、免疫力も向上し早期回復に繋がります。
患者さんの療養環境を整えるには、以下のチェックポイントをおさえましょう。
- ベッドまわりの安全性や清潔さ
- 室温・照明・換気・騒音への配慮
- プライバシー
- 寝衣や寝具
患者さんが安全にストレスなく過ごせる環境になるよう、日々配慮を心がけましょう。
まとめ

クリニックの「集患・増患方法」「大切なこと」について詳しく解説してきました。近年は多くのクリニックがオンライン・オフラインの集患・増患対策を行っているため、ただクリニックを運営しているだけではほかのクリニックに患者さんが流れてしまいます。
本記事で解説した集患・増患対策を一つひとつ実践することで、集患・増患に確実に繋がっていきますので焦らず取り組んでいきましょう。また、集患・増患に成功しても、患者さんにとって満足度の低い運営をしていてはすぐに患者さんが離れてしまいます。満足度をあげる努力を行っていくことも決して忘れてないようにしましょう。